著者
佐藤 年明 Satou Toshiaki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.171-183, 2006

本稿は、日本教育方法学会第41回大会における筆者の自由研究発表「思春期の性教育における男女別学習と男女合同学習の意味‐スウェーデン王国の事例を参考に‐」(2005年10月2日、鹿児島大学教育学部)の発表時配布資料を一部修正、加筆したものである。社会における男女平等、男女共同参画社会の推進の流れの中で、わが国の小中学校における性教育についても、かつての小学校における女子のみの初経指導と男子の放置という貧弱な性教育の実態への反省もあって、学級において男女合同で性に関する学習を行なうことが望ましいと考える関係者が多いのではないかと思われる。しかし、思春期特有の性に関する強い羞恥心と児童生徒の自らの性のprivacyを守りたいという正当な要求に配慮するならば、学習過程で男女別学習を組み込むことが効果的である場合もある。このことを日本とスウェーデンの実践事例の検討を通じて考察した。但し、性の学習における「男女」という二区分は、性自認や性志向におけるマイノリティの立場にある児童生徒がクラスに存在する場合には、却って弊害をもたらす場合もあり、当事者との協議を含む慎重な対応が必要である。
著者
村松 浩幸 砂岡 憲史 川瀬 忠 桜井 正広 坂口 謙一 平舘 善明 木下 龍 Muramatsu Hiroyuki Sunaoka Norifumi Kawase Tadashi Sakurai Masahiro Sakaguchi Kenichi Hiradate Yoshiaki Kinoshita Ryu
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.31-36, 2005

中学校技術科「情報とコンピュータ」において自動化学習用に開発した自動化簡易言語「オートマ君」の制御用DLLおよびUSBインターフェイスを、USB制御とパラレル制御の両方に対応できるように改良した結果、次の成果が得られた。(1)USB制御に対応させることで、OSおよびハードウェアの制約を少なくし、より多くの環境で自動化学習が可能になった。(2)USB制御とパラレル制御の両方に対応させることで、今までのハードウェア資産を生かしつつ、新しい環境での自動化学習に移行できるようになった。(3)改良した制御用DLLは使用法を公開し、他プログラム言語でも利用可能になった。
著者
郷右近 歩 舛本 大輔
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.97-102, 2012

2011年度、三重大学教員免許状更新講習では、聴覚障害を有する教員に向けた学習支援を実施した。聴覚障害を有する教員の受講に際して、5項目の課題が明らかになった。すなわち、①情報の効率的な取得に関する配慮、②担当講師の授業展開や話し方の特徴に対する支援者の即応力、③速記者における熟達の度合いと講義内容の理解水準、④音声文字変換ソフト導入の可否、⑤受講者と支援者との関係性の構築、である。都市部とは異なり、地方の講習開設主体(大学等)は聴覚障害教育に関する専門職員を雇用できるとは限らない。しかしながら、各都道府県には聾学校があり、聴覚障害を有する教員も勤務している。それぞれの地域で、聴覚障害を有する教員が合理的配慮のもと教員免許状更新講習を受けられる体制の構築が喫緊の課題であり、三重大学における取り組みは、そのモデルケースとなり得るものであった。
著者
大谷 正人 Otani Masato
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.107-113, 2005

レナード・バーンスタインは20世紀にアメリカが生んだ大指揮者兼作曲家として、世界中で活躍し、多くの人々から愛された。バーンスタインにとって、1970年代の後半を中心とした危機的状況は重要な意味を持つと考えられる。作曲家として後世に残るようなシリアスな名曲を作曲したいという思いのため、1969年にニューヨーク・フィルハーモニックの指揮者を辞任したが、その後に作曲した大曲はいずれも期待したような評価は得られず、熱狂的な歓迎の得られる指揮活動を中心にせざるを得なかった。また1976年から1年近くバーンスタインは、妻のフェリシアと別居し男性の愛人と暮らしていたが、その別居中に発症したと思われる肺癌のため、1978年フェリシアは死去した。その悔恨の思いはバーンスタインの生涯続き、その後の音楽活動にも影響を及ぼした。特に演奏面での変化は著名で、遅い曲でバーンスタインのとるテンポは時々極端に遅くなっていった。
著者
上垣 渉 根津 知佳子 Wataru UEGAKI Chikako NEZU
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.41-60, 2013

本論文の目的は,音楽療法における数学的パラダイムの構造を明らかにすることである.そのために,古代ギリシアにおける音楽理論の形成過程と,その特徴及び人間への影響の仕方を考察した.古代ギリシアの音楽理論はオリュンポスによって創始され,テルパンドロスによってオクターブ的7 音音階が成立した.ピュタゴラスはそれを改革して8 音音階を完成させ,数比(ラチオ)にもとづく音楽理論を展開した.一方,アリストクセノスは音楽理論における数比主義を排除して,調和(ハルモニア)を求める聴覚に依拠した知覚主義的音楽理論を唱えた.これら2 つの音楽理論の統一を図ろうとしたのがプトレマイオスであった.音楽の世界と数学の世界を結びつけるのは比例(アナロギア)であり,比例によって音律論は強固な数学的基礎を獲得したのである.音楽は人間の精神に対して倫理的・教育的な作用力を発揮するが,本論文では,そのような音楽の特性を「音楽のエートス」と名づけた.プトレマイオスは,エートスの発生はトノスの転位の結果であると考え,7 種のオクターブ形式を定式化した.この7 種の形式が人間の精神に対して勇気,悲哀など種々の影響をもたらすのである.以上の考察から,数学的パラダイムはラチオとハルモニアを核とし,アナロギアを介して,音楽的エートス論を形成するという構造を持っていることを明らかにした.
著者
櫻井 誠 磯部 由香 吉本 敏子 Makoto SAKURAI Yuka ISOBE Toshiko YOSHIMOTO
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.135-141, 2013

「食育」には多様な概念が含まれており、その対象や目的も様々である。一方で、多くの食品関連企業が食育基本法で食育の推進に協力することが責務とされている通りに、様々な食育活動を行っている。しかし、企業が「食育」をどのように考え、食育活動の対象や目的をどのように設定しているかなどはあまり検証されていない。そこで本研究では、企業のホームページやCSR報告書などから、これら企業が行っている食育活動や食育の理念などを分析することにより、企業の考える「食育」の概念を明らかにすることを目的とした。また、企業の出前授業や、提供している教材を分析することで、そのねらいについても明らかにすることも目的とした。58社の実施している食育活動170件を対象に調査した。対象者は「小学生」が最も多く、次いで「親子」、「一般(成人など)」であった。活動内容は「料理教室」が最も多く、次いで「メニュー・レシピの提供」、「出前授業」であった。食育の理念などでは「大切」、「楽しい」、「子ども」、「健康」、「安全」、「おいしさ」などの文言が多く見られた。さらに14社の企業から得た21資料の食教育教材を分析した。「企業名」はほとんどの教材で明記されていた。「商品名」は21資料中4資料、「対象学年」は7資料、「対象教科」は11資料で明記があった。「ドリルなど」を含む教材は12資料であった。家庭科に関する内容では「栄養」、「食品」、「調理」が多く取り扱われていたが、家庭科以外や発展的・専門的内容を含む教材が多く見られた。
著者
松本 昭彦 Matsumoto Akihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.74-63, 2010

鴨長明『方丈記』の「五大災厄」の部分は、当時起きた災害の事実を基に記しているとされるが、中には「虚構」とされる部分もある。確かに、「養和の飢鯉」について見るに、養和二年の二ヶ月間に供養された遺棄遺体数・四万二千三百や、行き倒れた母の乳にすがる幼子、仏像・寺院を損壊して薪に売る行為等の記事は、古記録等で直接確認できず、事実でない可能性が高い。しかしそれらの記事も、いくつかの状況証拠から、事実でないからといって「虚構」に直結させる必要はなく、長明においては〈事実〉として記憶されていたからこそ、「人と栖の無常」を証拠立てるものでありえたし、それが「閑居の気味」を意義づける条件であったのだと思われる。
著者
伊藤 暢浩 岡野 昇 山本 俊彦 加納 岳拓 Ito Nobuhiro Okano Noboru Yamamoto Toshihiko Kano Takahiro
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.155-166, 2010

本稿では、まず小学校体育における「体力を高める運動」にかかわり、最近の実践報告や研究動向から、「体力を高める運動」の問題を浮き彫りにした。そこでは、「体力を高める運動」の実践報告はきわめて少なく、教材の開発もあまり進められていないことが明らかになった。また、その背景には小学生には受けいれられにくいとされる必要充足機能が強調されており、その内容はトレーニング的で量的な体力を問題にする数値主義に基づき、自己の体力の高まりに着目した個人主義的な立場から「体力を高める運動」が位置づけられていることが明らかになった。加えて、最近の研究では、「体力を高める運動」の運動の特性、学習観、身体観といった枠組みから展開されていることが明らかになったが、実際にどのように運動の内容構成を行っていけばよいのかという教材開発の提示までには至っていないことが浮き彫りとなった。そこで、「体力を高める運動」における、①運動特性の捉え方、②学習観の捉え方、③身体観の捉え方の三点について検討した結果、運動の特性は欲求充足機能を前面に取り上げながら、結果として必要充足機能に結びつけるという表裏一体のものとして捉えることが肝要であると述べた。また、学習観は個人主義的な学習観から関係主義的な学習観へシフトすることが重要であると述べ、身体観は一人称的・三人称的身体から二人称的身体へと転換することで、新たな体育教育をひらく可能性があると考察した。こうした視点を持ちながら、「体力を高める運動」の新たな内容構成に基づく教材開発を行った結果、欲求充足と必要充足の機能の両方を重視しながら教材を作成するために、カード(A6版)形式を採用し、カードの表面には欲求充足の観点が分かるように、「運動の中心的なおもしろさ」をイラストと文章で表記し、カードの裏面には体力の四つの要素(体の柔らかさ・巧みな動き・動きを持続する能力・力強い動きを高めるための運動)のどれと結びついているかという観点で示した。また、仲間と共に楽しみながら行える運動を行うことができるという観点から30の運動を選定し、仲間に働きかけたり、仲間から働きかけられたりすることにより生まれる世界を大切にする二人称的な身体から運動を取り上げた。
著者
上垣 渉 田中 伸明 Uegaki Wataru Tanaka Nobuaki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.185-196, 2009

In the time after World War II, Japanese Education was under the control of Civil Information & Education Section (CI & E) of General Headquarters / Supreme Commander for the Allied Powers (GHQ / SCAP). The CI & E decided that Japanese new upper secondary education should have a broader focus and comprehensive curriculum. On September 27th 1946, a final tentative curriculum of elementary and secondary education in Japan was agreed upon between the Ministry of Education of Japan (Mombusho) and CI & E. In this plan, mathematics courses of upper secondary level were deemed elective. Wada Yoshinobu (Chief of mathematics course of study committee) was concerned that mathematics was "elective" and claimed that it should be "compulsory". This thesis clarifies the argument for additional years of compulsory mathematics by using GHQ / SCAP's estricted documents.
著者
加納 岳拓 岡野 昇 Takahiro KANO Noboru OKANO
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.287-296, 2013

本稿では、「体育における対話的学び」の視点から授業デザインした跳び箱運動の授業実践を対象とし、跳び箱運動における子どもの学びについて明らかにすると同時に、子どもたちの関係がどのようなときに学び合いが成立しているのかという、体育における学び合いについて明らかにすることを目的とした。その結果、跳び箱運動における学びとして、「第二次空中局面における体勢変化」への参加、「支持跳躍運動における切り返し方(身体つかい)」の立ち現れ、「第二次空中局面における体勢変化」にかかわる動きの共有の三点が明らかにされた。また、体育における学び合いについては、「完成された運動を見合う場」から「未完成の運動を共有する場」へ、「運動者中心の指導」から「運動観察者の指導」への視点を加えることが、体育における学び合いを実質的なものにすることが考察された。
著者
中西 正治 Masaharu NAKANISHI
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.193-208, 2013

広島高等師範学校附属中学校が、明治後期・大正・昭和初期にかけて行ってきた関数や関数の考え方に対する教育(関数教育)はどのようなものであったのか、その様相を明らかにすることが本稿の目的である。研究の結果、明治38年度から大正5年までは、教科書作成第I期に向けて準備を進めた準備期、関数概念の養成を代数学を中心として進めた創生期(第I期:大正6年~大正12年)、幾何学で式とグラフの利用、算術でグラフ利用及び代数学の更なる充実をはかった成長期(第II期:大正11年~大正15年、第III期:大正15年~昭和5年)、数学全体という志向でより広がりを見せた成熟期(第IV期:昭和6年~昭和8年)と、大きく4つに分けられることが明らかとなった。
著者
磯部 由香 森岡 めぐみ 成田 美代
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.1-4, 2007

アントシアニン系色素のシアニジン-3-グルコシド(Cy-3-Glc)およびタンニンの二種類以上の色素を有する有色米である「赤混黒米(あかまじりくろまい)」から色素を抽出し、その安定性について検討を行った。赤混黒米から抽出した色素は、pHが低く、加熱時間が短く、加熱温度が低いほど安定であった。酸、糖、金属イオンの色調に対する影響を調べたところ、金属イオン添加時の色調の変化が最も大きかった。また、紫外線5時間照射に対しては変化が見られなかった。
著者
中西 良文 村井 一彦 梅本 貴豊 古結 亜希 Nakanishi Yoshifumi Murai Kazuhiko Umemoto Takatoyo Kogetsu Aki
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.299-303, 2010

本研究では、Pintrich, Marx, & Robert (1993) のいう、「暖かい概念変化モデル(hot model of conceptual change)」という考えをもとに、小学生6名(5年生4名・6年生2名)を対象に英語の否定疑問文への回答に対する概念変化と動機づけ変化を促す実践を行い、その効果を検討したものである。具体的には、認知的葛藤を利用して、概念変化を導くと同時に、興味を高めることをねらいとした働きかけを行った。実践の結果、否定疑問文に回答する課題において、正答者数が増えたものの、有意な変化は見られなかった。一方、興味については、得点の上昇が見られた。これらの結果をもとにして、より望ましい概念変化が導かれるために必要な条件について、議論を行った。
著者
梅本 貴豊 中西 良文
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.353-358, 2012

本研究は、方略保有感、方略の認識と、主観的ウェルビーイング(自尊感情、学校生活満足感)との関連を検討することを目的とした。216名の大学生に対して、質問紙調査が行われた。相関分析の結果、方略保有感は自尊感情、学校生活満足感との正の関連がみられたが、方略の認識については関連がみられなかった。次に、方略保有感と方略の認識のそれぞれの高低の組み合わせから4群を構成し、その4群を独立変数、自尊感情と学校生活満足感を従属変数とした一要因分散分析を行った。その結果、方略保有感と方略の認識がともに高い群は、高い自尊感情と学校生活満足感を示した。これらの結果から、方略保有感と方略の認識が、主観的ウェルビーイングに与える影響について議論された。
著者
松本 昭彦 Matsumoto Akihiko
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.85-92, 2009

『枕草子』第二十三段「すさまじきもの」の段には、験力を持った祈祷僧が、物の気を患った者の治療のため、憑り坐しに物の気を移らせようとして加持するのだが、全く効果が表れず、あくびをして横になってしまう、という「すさまじきもの」の一例がある。従来これは「加持に疲れ、何の効き目もないのに倦み飽きて眠くなってしまった験者(祈祷憎)の、やる気のなさを象徴する〈あくび〉」と解釈されてきたが、『古今著聞集』巻六・第二六六話、『栄花物語』巻二十九「たまのかざり」などによると、加持場面での病人のあくびは、物の気が治る兆候として現れており、本段における清少納言の筆致なども考慮すると、験者への皮肉を込めて、「本来あくびが期待される病人ではなく、験者がしてしまう」という文脈に読むべきである。
著者
廣岡 秀一 横矢 祥代 Hirooka Shuichi Yokoya Sachiyo
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.111-120, 2006

本研究は、子どもの規範意識の実態を把握することと、日常生活に関する意識から規範意識が影響を受けている関係を探ることを目的とした。三重県内の小学生・中学生・高校生を対象に、日常生活で経験する可能性のあることがらについての社会的ルールや規則に対する認知を調査した結果、学年が上がるにつれて規範意識が低下すること、違法・暴力行為や迷惑行動に対する規範意識は、男子は学年が上がるほど低下するが、女子は中1~中2以降は低下しないということ、遊びや快楽を追求する行動に対する規範意識は女子の方が低いことを見出した。さらに、日常生活に関する意識と規範意識の関連を検討したところ、小学生は、一般的な大人にポジティブなイメージを抱いているほど規範意識が高いこと、中・高生は、大人から自分の行動を正当に評価してほしいと思っているほど規範意識が高いことが明らかになった。次に、学校で適応できていることが高い規範意識につながること、中・高生は、友人関係が良好なことが規範意識にネガティブな影響を与える可能性があること、さらに、友人関係が良好で学校に適応できていると感じていると規範意識が高いことが明らかになった。また、将来に見通しを持ち、自分の学習や社会的な活動に意味を見出していることが規範意識にポジティブな影響を与えることが明らかになった。