著者
岡崎 光良 小河原 公司 稲生 美子
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.24, 1964-10

1.柑橘類の種子は短命種子でかっ乾燥に弱いといわれている.しかし,種子の発芽力の低下の原因について,水分含量のみでは説明出来ない.また,柑橘類の種子は乳熟中に発芽力を獲得するといわれている.本実験は1961~62年にカラタチ(Poncirus trifoliata Raf.)種子の発芽特性と貯蔵法および発芽力喪失の原因を知るために行なった.2,カラタチ種子は開花後90~105日間に発芽力を獲得し,135日目に最高に達す.その後低下する.しかし,剥皮種子は135日以後も低下することなく,発芽力を最高に持続する.種子は25℃でよく発芽する.しかし剥皮処理をすると20°および25℃よりも30℃で最もよく発芽する.ジベレリンは高温での効果は少ないが,低温での効果がみとめられた.3.30℃の高温で開放貯蔵したものは,発芽力,水分含量ともに急速に減少した.しかし低温で貯蔵したものでは,発芽力および水分含量の減少は徐々であり,20℃区では約25日で,また5℃区では65日に急速に発芽力を失なった.カラタチ種子寿命を持続させるのには,低温で貯蔵するのが有効である.4.砂に貯蔵したときには,密封または開放貯蔵より長く発芽力を持続し,室温下で全然水分を含まない砂に貯蔵したものが最も良かった.5℃で5%の水分を含む砂中に貯蔵したときには65日以上に貯蔵することができず,高温多温下で貯蔵すると貯蔵中に発芽し,低温多温下では種子が凍結したためか発芽力が劣った.5.種々の条件下で55日間貯蔵した種子の発芽力については,剥皮をすれば各区とも完全に近い発芽力を示したが,無処理種子の発芽率では貯蔵条件により,かなりの差がみとめられた.そして,室温下で0%水分含量の砂に貯蔵したものは100%発芽した。

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