著者
山口 訓史 後藤 丹十郎 小日置 佳世子 大谷 翔子 吉田 裕一
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:21867755)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.29-34, 2013-02-01

As occurrence of abnormal inflorescence in Gypsophila paniculata 'Altair' is caused by environmental conditions, effects of day length, supplemental lighting strength, shading period and minimum night temperature on occurrence of abnormal inflorescence were investigated. Abnormal inflorescence was classified into four types : normal, pattern 1 (Short-flower stalk), pattern 2 (Coalescent two-flower stalk) and pattern 3 (Looping and irregular-flower stalk). Neither of 12h, 16h, 20h or 24h day length by fluorescent lamp, nor 24h by incandescent lamp affected occurrence of abnormal inflorescence. Effects of four levels of light intensity (fluorescent lamp : PPFD 1μmol・m−2・s−1, incandescent lamp : PPFD 3μmol・m−2・s−1, metal halide lamp : PPFD 14μmol・m−2・s−1 and high-pressure sodium lamp : PPFD 48μmol・m−2・s−1) were examined in 16h photoperiod. Occurrence of abnormal inflorescence was not affected by different light intensities, neither was it affected by shading period. Occurrence of abnormal inflorescence at 15°C was however significantly reduced compared to that at 8°C. In particular, patterns 2 and 3 at 15°C were significantly reduced compared to those at 8°C. There was a strong negative correlation between average night temperature from starting the treatment to flower budding (7.1°C, 9.0°C, 9.2°C, 11.6°C and 16.4°C) and incidence of pattern 3 (13.1%, 8.7%, 7.1%, 1.1% and 0.7%). Therefore, as average night temperature increased, occurrence of abnormal inflorescence decreased. The results show that low night temperature may be the main factor inducing occurrence of abnormal inflorescence.シュッコンカスミソウ'アルタイル'の形態異常花序の発生には環境要因が関与していると考えられたので,日長,補光強度,遮光時期および最低夜温が形態異常花序発生に及ぼす影響を調査した.形態異常程度は4種類のパターン (0:正常,1:茎が短いもの,2:2本の茎が癒着,3:ひどく湾曲し変形したもの) に分類し,その影響を受けた小花の割合を求めた.蛍光灯による日長処理(12時間,16時間,20時間,24時間)や白熱灯による日長処理(自然日長,24時間)は形態異常花序発生率に影響を及ぼさなかった.蛍光灯(PPFD 1μmol・m-2・s-1),白熱灯(PPFD 3μmol・m-2・s-1),メタルハライドランプ(PPFD 14μmol・m-2・s-1),高圧ナトリウムランプ(PPFD 48μmol・m-2・s-1)を用いて16時間の補光を行った.異なる光源による光強度でも形態異常発生率に一定の傾向は認められなかった.遮光時期を変えても形態異常発生率に一定の傾向は認められなかった. 最低夜温を15℃に上げると8℃区と比較して15℃区の形態異常発生は大きく減少した.特にパターン2と3の発生率は大幅に低下した.各実験の処理開始から発蕾までの平均夜温(7.1℃,9.0℃,9.2℃,11.6℃,16.4℃)と,パターン3の形態異常発生率(13.1%,8.7%,7.1%,1.1%,0.7%)との間に高い負の相関(R2=0.849)が認められ,処理開始から発蕾までの平均夜温が高いほど形態異常発生率は低下した.以上のことから,形態異常花序発生には夜間の温度が大きく関与しているのではないかと推察された.
著者
須藤 浩 内田 仙二 金田 清
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.41, pp.61-68, 1973-03

7月2日植えつけのサツマイモについて,飼料的利用の角度から,ツルとイモの収量を9月28日から11月25日の間6回収穫してその成分と収量を調査するとともに,ツルのサイレージをそれぞれの収穫の時期につくり,その品質ならびに飼料養分を調査した. 1)イモヅルによる養分の最大収穫期は,10月29日で,イモの最大収穫量の期日は11月10日であった. 飼料としてツルとイモの両者を利用する場合は,10月末~11月初旬に収穫するのがよいことになる. 2)収穫調査6期の材料で,イモヅルサイレージを調製したが,でき上がりサイレージの品質は,時期による差はほとんどなく,いずれも良質のものが得られた. 3)イモヅルサイレージのヤギによる消化率は,材料が10月中旬までのものが,下旬以降の材料からつくったサイレージに比較して少しく高かった. 10月19日以前の3期のサイレージの有機物の消化率は70%程度で,10月30日以降の3期のサイレージの有機物の消化率は65老程度であった. 4)ヤギとウサギによるサイレージの消化率は,本実験の前半のサイレージでは,ヤギがウサギにまさる消化率を示したが,後半では,余り差がなかった. 粗繊維の消化率は,いずれもウサギがヤギより低かった. 5)10アールあたりの圃場から生産されるイモヅルそサイレージを調製する場合TDNの収量からみて,10月下旬に収穫するのがよく,イモの収量もあわせて考える場合は10月末~11月初めに収穫するのが適当と推察された. 6)イモヅルのプロビタミンA含量は,生育が進むにつれて,その含量は低下する. 埋蔵中に失われるプロビタミンA盤は,極端に遅い期の材料のものを除いては,11~25%程度であった. 埋蔵期別による明確な差異は認められなかった。
著者
Setiawan Eko Poerwanto Roedhy Fukuda Fumio Kubota Naohiro
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:21867755)
巻号頁・発行日
no.101, pp.39-47, 2012-02-01

Productivity and quality of mangosteen fruit is markedly affected by tree age and sector (position in canopy). The objective of this study was to make clear seasonal changes in meteorological conditions of mangosteen orchard, and C-N ratio of leaves in relation to tree age and sector. The experiment was conducted using mangosteen trees grown in commercial orchard in Bogor, Indonesia during May to October 2010. Mangosteen trees of 3 different ages, young (20-year-old), middle (35-year-old), and old(50-year-old), each of five trees, were selected for study, and the canopy of each tree was divided into 9 sectors based on height (bottom, middle, top) and width (inner, center, outer). The light intensity on sunny days was higher in Sector 9, it was 8.1, 7.5, and 7.7 μmol・M(−2)・s(−1) in young, middle-aged and old trees, respectively, whereas in Sector 1 it was low, resulting 0.5, 0.4, and 0.5 μmol・M(−2)・s(−1) in young, middle-aged and old trees, respectively. Regardless of tree age, light intensity in outer position in canopy was higher than in the inner, and also it was higher in taller than in lower positions in canopy. In 2010, the phenological aspects of mangosteen orchard markedly changed because of irregular rainfall. In spite of tree age, SPAD value of leaves in upper parts such as Sectors 5-9 was high comparing with lower ones such as Sectors 1-4. In young trees, carbohydrate content of leaves was higher in top positions such as Sectors 7-9 than in bottom ones such as Sectors 1-3, whereas in middle-aged and old trees, no significant difference of carbohydrate content was observed among sectors. Regardless of month and tree age measured, nitrogen content of leaves was higher in lower positions in canopy such as Sectors 1-4 than in upper ones such as Sectors 5-9. Consequently, the C-N ratio of leaves was higher in the upper part of canopy compared to the lower. Based on the results, the relationships between meteorological status and C-N ratio of leaves and fruit productivity and quality of mangosteen are discussed inrelation to position in canopy and tree age.マンゴスチンの果実生産性や果実品質が樹冠部位や樹齢によって異なる点について,インドネシア西ジャワの商業的マンゴスチン園で照度と降雨量を調査するとともに,20,35および50年生樹を5個体ずつ選び,各個体樹冠の高さと幅から9つのセクター(樹冠部位)に分け,葉の葉色値(SPAD値),クロロフィル含量,炭水化物含量,窒素含量およびC-N率を比較した.晴天日の照度は,樹齢による差は小さくセクター9(各樹齢7.5~8.1μmol・M(-2)・S(-1))が最も高く,一方セクター1(各樹齢0.4~0.5μmol・M(-2)・S(-1))で最も低かった.樹冠外部の照度はいずれの樹齢も樹冠内部よりも高く,またセクター1,2,3のような下部よりも7,8,9のような上部で高かった.調査を行った2010年は雨季の開始が例年よりも2~3か月早く,このため樹体の生育相が例年とは大きく異なった.葉色値は樹齢に関係なくセクター1~4のような下部の葉よりもセクター5~9のような上部の葉で高かった.葉の炭水化物含量は,20年生樹ではセクター1~3の下部よりも7~9の上部で高かったが,35年生と50年生樹ではそれぞれ50.7~53.0%と51.3~52.6%で大差なかった.一方,葉の窒素含量は樹齢や測定時期に関係なくセクター5~9の上部よりもセクター1~4の下部で高かった.このため,葉のC-N率は樹冠の下部よりも上部で高かった.この結果をもとにマンゴスチンの果実生産性と品質および樹冠部位と樹齢との関係を考察した.
著者
中村 怜之輔 風岡 三信
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.27-36, 1977

現在わが国のバナナ消費量の85% を占めるフィリピン産Cavendish種バナナの流通経路を次の3段階に大別し,温度条件を中心にして輸送環境を追跡調査した. 1)プランテーション→輸出港(フィリピン) トラック輸送を含むこの工程での箱内温度は気温付近の25~28℃で,冬期にはこの工程で高温の影響を受けることはないと思われる. しかし,滞荷が生じるとパッキング・ハウスや桟橋で直射日光にさらされて,果実温度が一時的に30℃を越えることが予想される. とくに夏期には注意が必要であろう. 振動は輸送距離が短かい割には回数が多く,また3G以上の強振動が日本国内の通常の輸送状態の場合と比較してかなり多かった. 2)海上輸送(ダバオ→大阪) 5000トン級バナナボートで,目標温度13.5℃,5日間で低温輸送した. 3Aホールドでは冷却速度が遅く,大阪到着時にも14.5℃で目標には達しなかった. 一方,4Bホールドでは50時間後には目標に達し,その後も低下して12℃に至った. 今回は低温障害の発生はみられなかったが,危険性は十分にあり,今後船内での過冷却については十分注意する必要があろう. ホールド内湿度は荷積後数時間後には95% RHになり,以後そのまま保たれた. また大阪到着時のホールド内空気組成は酸素19.4% ,炭酸ガス0.20であった. 船の動揺による振動加速度は,使用した加遠度計では記録されなかった. 3)輸入港→追熟加工業者(日本) 大阪港→出雲市(バン・トラック),神戸港→米子市(二重シートがけ)の2回のトラック輸送を行なった. 峠を越える時点で,外気温は一時的に約0℃にまで低下したが,箱内温度はほとんど影饗を受けなかった. また振動は比較的少なかった。
著者
牛島 幸一郎
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.85-90, 2005-02

Self-incompatibility(GSI) in the rosaceous species is controlled by the S locus consisting of S-RNase gene and an unidentified 'pollen S' gene. A~200kbp of cosmid contig for the Sc haplotype of almond was constructed. Genomic Southern blot analyses showed that most cosmid end probes, except those near the Sc-RNase gene, cross-hybridized with DNA fragments from different S haplotypes, implying that the cosmid contig extends to the borders of the S locus. A~70kbp segment of the Sc haplotype, the S haplotype-specific region containing the S-RNase gene, was complentely sequenced. This regin was found to contain two pollen-expressed F-box genes that are likely candidates for pollen S genes. One of them, named SFB(S haplotype-specific F-Box protein), was specifically expressed in pollen, and showed high level of S haplotype-specific sequence polymorphism, comparable to that of the S-RNases. The other is unlikely to determine the S specificity of pollen, because it showed little allelic sequence polymorphism and was expressed also in pistil. Three other S haplotypes were cloned and the pollen-expressed genes were physically mapped. In all four cases, SFBs were physically linked to the S-RNase genes, and were located at the S haplotype-specific region, suggesting that the two genes are inherited as aunit. These features are consistent with the hypothrsis that SFB is the pollen S gene. This hypothesis predicts involvement of the ubiquitin/26S proteasome proteolytic pathway in the RNase-based SI system.
著者
藤崎 憲治
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.83, pp.p113-132, 1994-02
被引用文献数
2

昆虫の分散多型性とは,「飛翔能力に影響を及ぼす多型性」と定義される.それは,大きく,翅多型性,飛翔筋多型性,及び飛翔行動多型性に分類される.さらに,このような分類では必ずしも包含できない,もう一つの分散多型性として,相変異性がある. 分散多型性の中でも,とりわけ翅多型性あるいは翅二型性は,もっとも顕著な例である.翅型は,単純なメンデル遺伝を行う場合もあるが,通常はポリジーン支配が多い.そのいずれも,短翅化に促す幼若ホルモンのあるレベルに対する遺伝子型の閾値反応により,翅型が決定されると考えられている,しかし,同じ遺伝子型であっても,幼虫期の環境条件により翅型は変化することが多いので,翅多型性は表現型の上できわめて可塑性な性質でもある. 卵形成と飛翔とはトレード・オフの関係(卵形成-飛翔症候群)にあるので,短翅化は,繁殖開始を早め,かつ産卵数を増大させる効果を持つことが多い.このことは,飛翔器官の形成と維持に関するエネルギーを,いち早く卵巣成熟に転換させることで達成されているものと考えられる.したがって,昆虫の翅多型性は,生息環境の異質性に対する適応としての移動性が大きなエネルギーコストを含み,それ故に他の適応度形質を制約することのジレンマから抜け出す一つの進化的道筋であるとみなされる. 飛翔行動多型形は,通常の長翅からばかりなる種で見られる,飛翔能力における変異性であり,翅多型あるいは翅二型性へと至る進化の出発と考えられる. したがって長翅型の方が祖先型であり,生息場所の安定化にともない二次的に短翅型が出現したものとみなされている.飛翔筋多型性は,これら二つの分散多型性の中間に位置づけられる性質である. 一方,相変異性の場合は,低密度で生じる独相を祖先型として,高密度で生じる群生相が二次的に進化したものであり,不規則に変動する予測不能な環境に対する適応でると考えられている. この総説は,昆虫の分散多型性の適応的意義と進化について,主に近年の成果を中心に紹介し,今後の研究のあり方を考察したものである。
著者
岡崎 光良 小河原 公司 稲生 美子
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.24, 1964-10

1.柑橘類の種子は短命種子でかっ乾燥に弱いといわれている.しかし,種子の発芽力の低下の原因について,水分含量のみでは説明出来ない.また,柑橘類の種子は乳熟中に発芽力を獲得するといわれている.本実験は1961~62年にカラタチ(Poncirus trifoliata Raf.)種子の発芽特性と貯蔵法および発芽力喪失の原因を知るために行なった.2,カラタチ種子は開花後90~105日間に発芽力を獲得し,135日目に最高に達す.その後低下する.しかし,剥皮種子は135日以後も低下することなく,発芽力を最高に持続する.種子は25℃でよく発芽する.しかし剥皮処理をすると20°および25℃よりも30℃で最もよく発芽する.ジベレリンは高温での効果は少ないが,低温での効果がみとめられた.3.30℃の高温で開放貯蔵したものは,発芽力,水分含量ともに急速に減少した.しかし低温で貯蔵したものでは,発芽力および水分含量の減少は徐々であり,20℃区では約25日で,また5℃区では65日に急速に発芽力を失なった.カラタチ種子寿命を持続させるのには,低温で貯蔵するのが有効である.4.砂に貯蔵したときには,密封または開放貯蔵より長く発芽力を持続し,室温下で全然水分を含まない砂に貯蔵したものが最も良かった.5℃で5%の水分を含む砂中に貯蔵したときには65日以上に貯蔵することができず,高温多温下で貯蔵すると貯蔵中に発芽し,低温多温下では種子が凍結したためか発芽力が劣った.5.種々の条件下で55日間貯蔵した種子の発芽力については,剥皮をすれば各区とも完全に近い発芽力を示したが,無処理種子の発芽率では貯蔵条件により,かなりの差がみとめられた.そして,室温下で0%水分含量の砂に貯蔵したものは100%発芽した。
著者
Tahara Makoto Yamashita Hiroki
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.7-11, 2007-02

Sequence analysis of Rtsp-1, an active LTR retrotransposon in the sweetpotato genome,revealed a possible novel Rtsp-1 RNA/tRNAMet complex for initiation of reverse transcription and the first DNA strand transfer. The Rtsp-1 RNA has a primer binding site (PBS) that is partly complementary to the 3' end of tRNAMet, and possesses an additional sequence complementary to the 5' end of tRNAMet downstream of the PBS. These additional base-pairings might stabilize the Rtsp-1 RNA/primer complex. In the free form, the 5' LTR of Rtsp-1 appears to form a stemloop structure apparently preventing the initiation of reverse transcription. While the stemforming site adjacent to the PBS is complementary to the tRNAMet, the other stem-forming site on the LTR complements a region just upstream of the 3' LTR. Additionally, another region at the 3' end of the Rtsp-1 RNA shows sequence complementarity to the tRNAMet. As the 3' end of Rtsp-1 approaches the tRNAMet bound to the PBS, the stem-forming strands dissociate and basepair with their complementary regions in the tRNAMet and the 3' end of Rtsp-1, respectively. Consequently, the LTR loop opens, allowing reverse transcription to initiate. After the initialreverse transcription stops at the 5' end of the Rtsp-1 RNA, the synthesized minus strand DNA needs to be transferred to the 3' end of the RNA to synthesize internal sequences. The Rtsp-1 RNA/tRNAMet complex may have evolved to facilitate this DNA transfer. Similar RNA/tRNA initiation complexes have been reported from reverse transcription in retroviruses and yeast retrotransposons (Ty1 and Ty3).カルスにおける転移が示されたサツマイモ LTR 型レトロトランスポゾン(Rtsp-1)の塩基配列を調べたところ,逆転写が開始される際,転写された Rtsp-1の RNA と最初の逆転写のプライマーに使われる tRNAMETとの間で,特徴的な逆転写開始複合体を形成し,この複合体が最初の逆転写とその後の過程で必要な逆転写産物(cDNA)の転移などを確実なものとしていることが示唆された.その内容は,1)転写された Rtsp-1の RNA 逆転写開始部位の塩基配列は自身の LTR 配列とステム構造をとること,2)tRNAMETが結合する Rtsp-1の Primer Binding Site 部位には,プライマーの機能を果たす tRNAMETの3'末端の相補配列に加えて,その隣接部位に tRNAMETの5'末端部位と相補的な結合部位が存在するために,tRNAMETの両末端が結合すること,3)Rtsp-1の3'末端側に,tRNAMET及びステム構造に関わる5'LTR の部位との相補配列があり,この3セ末端側が転写開始複合体と結合することにより,ステム構造が崩れて逆転写が開始されると推定されること,4)逆転写が開始された後も,tRNAMETの結合によってRtsp-1の5'末端と3'末端側に近接した状態が保たれることである.Rtsp-1の3セ末端側の転写開始複合体への結合を転写開始の条件とすることにより,最初に合成される cDNA の3'末端への転移が容易となることなどが示唆された.
著者
中村 宣督
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.87-91, 2006-02

野菜全般の摂取と健康状態に関する疫学的研究は,近年数多く報告されており,様々な疾患リスクの低減だけでなく,通常の健康状態に関しても野菜の有効・有用性が示唆されている.その一方で,食生活の欧米化の着実な進行から,肉食・魚介類の順調な消費の伸びに対し,野菜消費量が減少の一途を辿っている.特に,若年齢層を中心とした世代の野菜消費量の減少が顕著であり,生活習慣病の若年齢化との相関から,社会問題として注目を浴びつつある.例えば,野菜を十分に摂取出来れば所要量の確保が容易なビタミンである葉酸であるが,新生児の神経管閉鎖障害症の最近の増加から,妊娠初期の女性の摂取不足に厚生労働省が警鐘を鳴らしている.また,昨今の栄養・健康情報の氾濫とサプリメント(栄養補助食品,健康補助食品)市場の急激な成長により,サプリメントを利用しておけば普段の食生活はないがしろにしても構わないという風潮に歯止めがかからなくなっている.野菜の摂取を推奨していくためには,人の健康と野菜摂取との関連を科学的かつ体系的に解明・整理にすることが今一度必要である.野菜中に含まれる,より具体的な機能性成分の性質や分布を正確に理解し,健康維持や疾病予防への寄与を明らかにすることができれば,より健全な「日本型食生活」への回帰を目指した野菜の消費拡大の一助となることはいうまでもない.それゆえ,これからの食品機能の基盤的研究が果たす役割は極めて重要であるといえる.食品機能の基盤的研究のなかで,現在最も体系的に進んでいる研究分野として,がん予防に関する研究が挙げられる.発がんの原因物質の排除と発がん抑制物質の積極的な摂取が「がんの化学予防」の基本戦略であるが,数多くの疫学的研究や動物実験の成果から,野菜や果物などの植物性食品の摂取が予防に有効であるといわれて久しい.特に,1990年代に米国で「デザイナーフーズ」計画がスタートしたことをきっかけとして,十数余年にわたるこれまでの研究は,がん予防に有望な素材・成分の化学的解明,動物実験成績や基本的作用機構に関する知見の蓄積だけでなく,その他の疾病をターゲットとした食品機能研究の進展に大きく寄与してきた.その一方で,β-カロテンのヒト介入試験での不成功から,食品成分による疾病予防法確立への道は決して平坦なものではないことも浮彫りとなった.現在,がんの化学予防研究は,ヒトにおける有効性をどのように評価して行くかを共通課題とし,体内動態や遺伝子発現の網羅的,体系的解析などのより詳細な分子レベルでの研究へと進展を遂げつつあり,筆者も例に漏れず研究標的をシフトしてきた.また,これまで有効とされてきた素材・成分の再評価,品種改良などによる有効成分(活性及び含量の)増強素材の開発,より偏りの少ない食事・栄養指導など,網羅すべき課題の広がりにより,食品化学分野は新展開の局面を迎えている
著者
岸田 芳朗 陳 少峰 陳 亮 張 培華 丘 栄偉
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部センター報告 (ISSN:09108742)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.16-19, 2006-12

農薬と化学肥料を使用しない有機農業のひとつとして合鴨農法(合鴨;アイガモ・アヒルなど水禽類)が、日本国内で普及し始めて16年を経過した。この農業生産システムは水田内における草や虫の生物相を、そして、水稲の株間の未利用空間を、それぞれ農業資源として位置づけたところに大きな特徴がある。すなわち、この農法は水田内を水禽類の飼育の場としてとらえ、これまで農薬によって駆除してきた草や虫を雑食性である鴨の補助飼料をし、排せつされる糞尿を化学肥料の代わりに活用しながら、米と鴨肉を同時に生産する総合技術である。
著者
岡本 五郎 賈 惠娟 水口 京子 Hirano Ken
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.39-46, 2003-02
被引用文献数
1

Skin color and juice constituents in large(L), medium(M), nad small(S) fruits of four peach cultivars, Hashiba-hakuho(early maturing), were analyzed to elucidate the effect of fruit size on the quality. The fruits containing higher soluble solids than 12°Brix were samled at a commercial packing-house located in southen Okayama. They were stored at 25℃ until fully ripened. The skin color on the cheeks (yellowish) was dark in S fruits of Hashiba-hakuto and Hakurei, respectively, compared to the fruits of other sizes. The sucrose + fructose content in juice, the major source of the sweetness, was higher in S and M fruits in Hakuho, Shimisu-hakuto, and Hakurei, while the malic+citric acid content, the major sour constituent, was lower in L fruits in those cultivars, although no significant difference was found in Hashiba-hakuho. Asparagine, the biggest amino acid fraction and thought to deteriorate the fruit taste at high levels, was higher in L fruits tahn in S fruits in Hashiba-hakuho and Hakuho. The content in Shimizu-hakuto and Hakurei fruits was generally low and not affected by fruit size. The content of γ-decalactone, the major peachy aromatic substance, was higher in L fruits in Hashiba-hakuto, in M fruits in Hakuho and Shimizu-hakuto, and in S fruits in Hakurei, than in those of other sizes. Sensory tests revealed that the L fruits of Hakuho and S fruits of Hakurei were poor in flavor. These results suggest that the larger fruits of Hakuho, Shimizu-kakuto, and Hakurei, the representative white peach fruits in Okayama, have rather falatter tastes than medium size fruits because of their lower sweetness and sourness and weaker aroma, as well as poorer texture.岡山市一宮のモモの選果場に出荷された有袋栽培の'橋場白鳳'(早生),'白鳳'(早中生),'清水白桃'(中生)および'白麗'(晩生)から,3段階のサイズ(L,M,S)の果実を入手し,完熟状態(手で皮が剥ける)に達するまで25℃の室温においた.それらの果実について,果皮色と果汁成分の分析と果肉の食味テストを行い,果実のサイズによる品質の相違を検討した.'橋場白鳳'では,S果実は地色が暗く,'清水白桃'のL果実は着色が濃いが色調が暗く,'白麗'のL果実は着色が薄くて黄色が強く,いずれも外観が劣った.果汁中の主要な甘味成分であるスクロース+フルクトース含量は,'白鳳','清水白桃'および'白麗'ではSまたはL果実で高く,酸味成分のリンゴ酸+クエン酸含量は,それら3品種のL果実で最も低かった.'橋場白鳳'では果実サイズによる糖・酸含量の有意な差がなかった.果実に苦みを与えるアスパラギン含量は,'橋場白鳳'と'白鳳'ではL果実で高かったが,'清水白桃'と'白麗'ではどのサイズでも含量が低かった.モモ香の主成分であるγ-decalactoneは,'橋場白鳳'ではL果実で高かったが,'白鳳'と'清水白桃'ではM果実で,'白麗'ではS果実で高かった.官能テストの結果,'白鳳'のL果実と'白麗'のS果実は食味が劣った.これらの結果から,岡山の「白桃」を代表する'白鳳','清水白桃','白麗'の大果は,中程度の大きさの果実より甘味と酸味が低く,アロマが弱いなど,食味が薄く,肉質も劣ると考えられる.
著者
本多 昇 岡崎 光良
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.20, 1962-09

1)水田地帯で約70cmの厚さに盛り土した葡萄園に1949年3月に栽植されたキヤンベル種葡萄で栽植距離18×1.8mにて一文字仕立(双腕コルドン)に整枝されたものについて1959~1961年にわたつて早期落葉の発生状態を調査し,若干の考察を加えた.2)キヤンベル種葡萄の萠芽期は4月中旬,開花期は5月下旬,硬核期は7月中旬,収穫期は8月中旬である.10~11節で摘心された本梢葉について7月から8月末におこる早期落葉を主とし,その発生率について調査した.ほゞ9月上旬までは,先づ葉身が葉柄との接着点から離脱するがそれ以後は概して葉柄を着けた葉身が葉柄の基部から離脱する.3)先づ樹勢別3区の平均の落葉率についてみるに1958年の7月末,8月末及び9月末日の累加落葉率はおのおの4.7,22.0及び44.3%である.ところが1959年には落葉期が著しく早くなり7~9月の各月末の累加落葉率はおのおの21.1,71.6及び88.6%となつた.その後1960年9月15日には累加落葉率が87.1%であり,1961年には8月31日に87.3%であるように連年落葉の時期が早くなつて来ている.4)1959年に前年に比し早期落葉が急増したことについては1953年に暴産したため樹勢の弱つたこと,1959年7月中旬の窒素肥料追肥によつて副梢の暴発及びおそのびによることが認められるほか,双腕コルドン整枝が誘発するT/R率のアンバランスの危期に到達したためと推定される.5)1958年及び1959年には強>弱>中勢区の順に早期落葉が顕著であつたのは,この両年には強勢区の樹では特におそ伸びにより,生長週期が乱されることにあるようである.然るに1960,1961年には早期落葉の順位が弱>強>中勢区になつたことについては,強勢区の樹勢がおさまつたこと,弱勢区では連年衰弱の程度が甚だしいことによると思われる.6)1961年における早期落葉には明らかに3つの波相がみとめられた.7月24日をピークとする第1の波相では弱勢区が特別に顕著であり,強・中勢区ではともに顕著ではない.8月3~7日をピークとする第2の波相は第1,第3の波相よりも著しくはない.第2の波相では強勢区の落葉が特に著しい.8月21日をピークとする第3の波相は中勢区が特に顕著であり,強勢区はそれに半ばし弱勢区ではさほど著しくない.7)弱勢区では根群が極めて浅いために梅雨あけ直後即ち7月中旬の乾燥によつて落葉が誘発され,またそれによつて連年の「樹力」の衰退度が急速である.1961年においてさえ強勢区の繁茂度(単位面積当りの葉面積)は中勢区の1.71倍であることは8月上旬に至つて吸水量のアンバランス,日照不良の度をますこと,又は葉中の苦土含量も低めとなること等により落葉が誘発されるものと思われる.中勢区はその生育相が最も適正ではあるが結果性が高いために暴産に陥り易く,かえつて収穫期にはなはだしく落葉する.このことは果実1kg当りの葉面積の小であること及び前報した如く収穫直前に起る8月上・中旬の光合成能の激減と関連していることは興味がある。
著者
白石 友紀 豊田 和弘 鈴木 智子 目黒 あかね 長谷川 幸子 西村 富生 久能 均
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.27-34, 2010-02-01

In this report, an effect of FFC-ceramic (FFC-Japan Co. Ltd., Tsu) water on the process of infection by a pea fungal pathogen, Mycosphaerella pinodes was investigated. Energy dispersive X-ray analysis showed that both of the FFC-ceramic water and a common ceramic water contained mainly Ca and S elements, of which the relative atomic percentages were 53~56% and 44~45%, respectively. Lesion formation by pycnospores of M. pinodes on pea leaves was inhibited severely by the application with both ceramic waters at the 1/2~1/6 concentration of saturated solution. Cytological observation under microscope showed that germination, germ-tube elongation and penetration were severely inhibited by these ceramic waters. However, such inhibitory effect of FFC-ceramic water was superior to that of the common ceramic water. On ethanol-killed pea epidermal tissues, both FFC-ceramic water and the common ceramic water blocked the germination, germ-tube elongation and penetration by the pathogen, indicatingthe direct effect of both ceramic waters on the fungus. In this case, the inhibiting effect of FFC ceramic water was more intensive than the common ceramic water. CaSO(4) at a 1/2~1/4 concentration of saturated solution blocked penetration by the fungus on the killed epidermis of onion bulb but scarcely affected germination and germ-tube elongation. Based on these results, we discussed the role of FFC-ceramic water in disease tolerance of plants and its availability for cultivation.本研究は,FFCセラミックス(TM)(株 エフフシージャパン)の植物病原菌の発病抑制効果について調べたものである.FFCセラミック水は原液の1/2~1/6の濃度でエンドウ褐紋病菌の発病を顕著に抑制した.この原因を調べたところ,FFCセラミック水は,病原菌の発芽,発芽管伸長,侵入(貫入)を顕著に阻害することが判明した.FFCセラミック水中にはCa並びにS,O元素が多量に存在し,SEM観察の結果と合わせると,CaSO(4)が多量に含まれることが示唆された.そこで,CaSO(4)飽和液の1/2~1/4濃度で,病原菌に対する作用を調べた結果,発芽あるいは発芽管伸長はほとんど阻害されず,低率ながら侵入も観察された.これらの結果を総合して,FFCセラミック水やCaSO4の栽培場面での応用を考察した.
著者
田中 義行
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:21867755)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.37-43, 2014-02-01

In the course of analyses of nonpungent capsaicinoidanalogs named capsinoids, two unknown compounds werediscovered in pepper fruits. These compounds were isolatedfrom the fruit of 'CCB'(Capsicum baccatum var.praetermissum). Their structures were determined to beconiferyl (E)‒8‒methyl‒6‒nonenoate and coniferyl8‒methylnonanoate. These novel capsaicin analogs werenamed capsiconiate and dihydrocapsiconiate, respectively,and the coniferyl ester group was named capsiconinoid.Capsiconinoids have agonist activity for transient receptorpotential vanilloid type 1, and their pungency is very low, assimilar to that of capsinoids. Cultivars containing highlevels of capsiconinoid are considered to be important forvegetable or dietary supplement. HPLC analysis wasconducted to determine capsiconinoid content in fruits of54 Capsicum cultivars : 28 cultivars of C. annuum, 9 ofC. baccatum, 12 of C. chinense, 4 of C. frutescens, and 1 ofC. pubescens. Twelve cultivars contained capsiconinoids.'CCB' showed the highest capsiconinoid content level (3314μg・g‒1 DW) and 'Charapita' (C. chinense) had the secondhighest (2694 μg・g‒1 DW). The other 10 cultivars containedmuch lower capsiconinoid than these two cultivars(<300 μg・g‒1 DW). Time-course analysis during fruitdevelopment clarified that capsiconinoid content increasedand reached maximum level in green mature fruit.Capsaicinoid contents also increased, correspondingly. Asfruits matured, capsiconinoid contents decreased rapidly,while capsaicinoid content either did not change ordecreased slightly.
著者
Acosta T. J.
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.63-71, 2005-02-01

A transpectal color Doppler ultrasonography was used to assess changes in the ovarian structures and to determine blood flow that tale place in the follicle wall and within the corpus luteum (CL) dring specific physiological events such as ovulation, CL development, and CL regression in cows. To investigate the local release of vasoactive peptides, steroid hormones, and prostaglandins (PGs) in each ovarian structure, the capillary membranes (0.2mm diameter and 5-10mm length) of a microdialysis system (MDS) were implanted surgically implanted into the follicle wall or within the CL along with ovarian venous and jugular catheters to collect simultaneous, real-time information on the ovarian and systemic change in the secretion of factors regulating vascular function. Based on the results obtained from in vivo experiments, it was proposed that a physiological relevant "cross-talk" between the vascular components (endothelial cells) and steroidogenic cells occur in the bovine ovary particularly during ovulation, CL formation and regression.カラードップラー超音波断層診断装置は,直腸を介して卵巣内の構造変化および血流変化を評価することができ,排卵,黄体形成,黄体退行などの卵巣生理現象の観察に有効である.私は,ウシにおいてカラードップラー超音波断層診断装置を用いて卵胞壁および黄体内の血流変化について検討するとともに,微透析システム(MDS;microdialysis system)を卵胞壁および黄体内に装着し,局所的な血管作動性物質,ステロイドホルモンおよびプロスタグランディン類の分泌を調べた.また,卵巣静脈および頚静脈より血液を経時的に採取し,血管機能を調節する因子の経時的変化についても検討した.これらの成果から,ウシの卵巣生理現象(特に,排卵,黄体形成,および黄体退行)において,卵巣内の血管内皮細胞とステロイド産生細胞(卵胞内膜細胞,顆粒層細胞および黄体細胞)間にクロストーク(相互調節作用)の存在することが示唆された.
著者
田村 隆 揖斐 隆之 稲垣 賢二 久保 康隆 奥田 潔
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:21867755)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.1-5, 2016-02-01

This study investigated the current status and causes underneath the life of university students who tend to lack breakfast at a relatively high frequency, and statistical analysis on consequences leading to such lack of well-nourished eating habitat in their university life. In October 2014, self-assessed questionnaires were administered to over 150 faculty students. It contained questions about breakfast habits, time allowance for the morning class, and lunchtime setting in their high school timetable. Breakfast states were clearly separated in three groups : 68% of students regularly have breakfast throughout the weekdays, 21% students skipping the breakfast occasionally, and 11% student no habit for breakfast at all. The survey on the high school lives revealed that 70% students used to have lunch 30 min later than the lunchtime set in the university timetable, 7% of them had the lunch time even more than 1 h later. Lunchtime varies among high schools, and statistical significance was revealed (p<0.01) that schools with higher deviation scores tend have late lunch beyond 12: 30. Accordingly, university students were given directions to prepare for the timetable reform on postulation of having lunch time over one o'clock. After continuous survey on the breakfast habits during the second semester, more than 90% of students established the habit of breakfast regularly in their university lives with the improved consciousness toward well-balanced healthy breakfast contents for their higher level of education quality.
著者
篠崎 侑一 大原 幸子
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.11, 1958-03

1.岡山県産ナタネの一般性状を各地区産地別に比較すると,概して県北地区生産のものが県南地区のものより油分含量が高い.2.ヨウ素価の低い品種として伊勢黒系の分系品種が注目され,又一般性状においては特に近畿28号が優秀な品種と思われる.3.成熟適期を落花終了後30日目と定めることは油分の性状変化からみて刈取調製上の意義が大きい.4.ナタネ燐脂体の含量はアルコール可溶性成分の量に比例した.5.輸入ナタネ(エチオピヤ産ナタネと称するもの)に異常性状を示すものが発見されたが,この子実はカラシナ(B. juncea),アビシニアカラシ(B. carinata)の混合物であつて,ナタネとして取扱えない。
著者
本多 昇 岡崎 光良
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.57-60, 1959

(1)本実験では overlimingによるクリの生育抑制が燐の吸収減退に由来するや否やについて実証した.花崗岩風化土壌18KgとN.P.Kおのおの1g宛を入れたワグネルポットを用い,St区(標準区)とCa区(消石灰18.9gを混入)との外に,St-P区,Ca-P区などの無燐酸区, Ca区に対し2倍量又は3倍量の燐酸を施与したCa+2P区,Ca+3P区などの6区を設けた. 1ポット当り2本宛のクリの実生を5月14日から10月17日の間栽培した後掘上げて調査した. (2)クリはoverliming又は燐酸無施与による燐吸収減退によつて生育を制限されない.クリの燐要求度は小であり(標準区の風乾葉中P含量は0.106%),葉中のP含量が0.062%となつても(St-P区及びCa-P区)燐欠乏症状が見られない。
著者
長堀 金造
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.31, pp.45-51, 1968-03

水田からの浸透水は反復利用されるもので局地的な減水深とかんがい面積から算定した水量をもって広域の用水量とすることは,過剰に用水量をみこむことになるので,水資源の有効利用の観点からいっても好ましくない. ゆえに広地域を対象にしたかんがい計画を樹立する際には水収支によって用水量を決定することが合理的な方法といえる. 以上の観点から,低平地水田地帯の水収支による用水量の実態調査を行なった結果,次の諸点が明らかとなった. 1)まず,水収支式は (Q2-Q1)+(G2-G1)+en,+⊿S=0 上式中,(G2-G1)+en,tn+⊿Sが広域水田の消費水量となる. 一般に低平地では(G2-G1)≒0 水量の安定した期間であれば⊿S≒0とみなせるから,本地域のような所では消費水量はen,tnと考えられる. 2)一方,モデル地区内の流量実測データより水収支計算によって求めた消費水量は,Iの期間(7月18日~22日)では水深になおして,11.8mmday,Iの期間(8月10日~14日)では11.0mm/day,Ⅲの期間(9月7日~11日)では7.1mm/dayの値となった. 3)他方,蒸発計蒸発量を基にして求めた蒸発散量 en,tn の結果はI期間が12.04mm/day,Ⅱ期間が11.62mm/day,Ⅲ期間が8.42mm/day,の結果となり,計器蒸発量を基にして算定した方が,3期問とも若干,en,tnが実測水収支の結果より値が大きい. しかし,それらの差は極めて小さい. 4)従って,本地域のように低平地水田地帯の消費水量はen,tnによるものであり,従ってG2-G1≒0⊿S≒0とみなせるものと考えられる. 5)以上から,本地域における消費水量は,en,tn程度のものでありながら,かんがい水量と排水量の両者が極めて多いことは注目すべきで,かんがい排水量を一適正化することが望まれる. 6)次に本地域の用水の反復利用量を検討してみたところ,平均的にみて,およそ5~6mm/dayの水量が反復利用されていることが明らかとなった. おわりに,本論文は昭和37年,著者が京大在職中に行なった巨椋池干拓地,かんがい排水の実態調査研究の一部であることを付記し,御援助いただいた巨椋池土地改良区の関係各位に謝意を表する次第である。
著者
安田 勲
出版者
岡山大学農学部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
no.7, 1955-09

1.実験に供した材料はミモザ(Mimosa sp.),アカシヤ(Acacia dealbata)及びアスター(Aster=Callistephus)の種子で,ミモザは輸入種子,アカシヤ及びアスター種子の一部は自家採種の新種子である. 2.発芽試験の方法はシャーレに濾紙を敷き,ミモザとアカシヤはそのまま,アスターは800倍のウスプルン溶液に約20分浸漬した後,実験に供した. 3.ミモザ及びアカシヤの種子はそのまま播いた場合は発芽率頗る低く始んど実用にならぬが,種子の先端を切るとか,種皮に傷を付けると100%近く発芽する.然し,ホウセンカ(Impatiens Balamina)の如く腐葉土に播いても殆んど発芽せぬ所から考えて不発芽の原因は種皮の硬さにあるようである.種子の剛度は殆んどイネの玄米に等しい. 4.ミモザの種子を硫酸(98%)や濃い苛性ソーダ液に浸した場合,割合効果のあつたのは30分浸漬区で,これより浸漬時間が短くとも,1時間に延しても効果は現われなかつた. 5.アスターを秋播して開花した株の種子を採播するとよく発芽(70~88%)する所から見て,アスターの採播は可能である。