著者
南 俊朗
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.19-28, 2009

我々が現在享受している生活の質を保持しつつ持続可能な成長を続けて行くためには,新しい技術の開発や我々の生活スタイルの変革などに関する新しいアイディアが必要であり,それを生み出すためには高い知的水準を持った人々からなる知識社会を構築していくことが欠かせない.図書館はこれまで社会の知的水準の向上や文化的生活を支えるのに貢献してきたし,今後も貢献していく必要がある.一方図書館は出版社や作家などの一部から「無料の貸本屋」などと揶揄されることもある.しかし,図書館の社会的役割を考える時,出版社などの企業は図書館を自らのビジネスの障害になる存在としてではなく,むしろ,自分たちのビジネスを補佐する存在として捉え,両者にとって利益のあるWin-Win 関係を築くべきである.本論文では,知識社会を発展させるために,このような図書館を仲介者とした企業と社会(地域住民)の協力関係を構築することの重要性を指摘し,またそのための概念モデルを提案する.企業が図書館との協力関係を深めていくことは我々利用者にとって,また我々の社会にとっても大きな益となる.このような観点に立つと,本稿で提案するモデルは図書館や利用者,企業の全てにとってのWin-Win-Win 関係構築に役立ち,またこれからの知識社会構築のための図書館の新サービスとして重要な第一歩であると言える.

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