著者
菅野 正
出版者
奈良大学史学会
雑誌
奈良史学 (ISSN:02894874)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.44-77, 1985-12

一九一九(中華民国八、大正八)年の五四運動が、中国近現代史上において、重要な意義を有するものであることについては、殆んど異論がないと思う。その運動は一五年の二十一ケ条要求、世界大戦への中国の参戦・勝利、大戦終結後のヴェルサイユ会議での中国側の要求の拒絶という背景の中で発生したものであるが、より直接的にはその前年の一八年五月に、日中間に締結された日中共同防敵軍事協定に対して、帰国在日留学生を中心とする学生や各界が反対運動を展開したことが一つの基盤をつくったものと思われる。この反対運動については、黄福慶、笠原十九司両(1)氏の研究があるが、軍事協定反対運動の経過をたどり、五四運動の前奏としての意義をみようとするのが小論の目的である。日中軍事協定は、元来日中陸軍共同防敵軍事協定と日中海軍共同防敵軍事協定との総称であるが、以下陸軍協定を中心に考察し、それを単に軍事協定と略称することにする。

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