著者
石田 真衣
出版者
奈良大学史学会
雑誌
奈良史学 (ISSN:02894874)
巻号頁・発行日
no.25, pp.83-103, 2007

ヘレニズムの文化を語ろうとするとき、支配する側にあるギリシア文化と、支配される側にあるオリエント文化の出会い、対立、あるいは共存といったさまざまな文化変容のあり方が問題となってくる。従来、ギリシアとオリエントの関係については、ギリシア文化の一方向的な伝播と優位性が評価される傾向にあったが、近年では、オリエントの側からの視点が個別研究において重要視されるようになってきた。わが国においては、大戸千之氏の『ヘレニズムとオリエントー歴史のなかの文化変容』によって、このような観点からの見直しが指摘され、すでにセレウコス朝シリアの文化変容について詳細な検討がなされている。一方、プトレマイオス朝エジプトについては、高橋亮介氏によって欧米学界における近年の修正論と新たな研究成果が紹介されているが、まだ具体的な実証研究は緒についたばかりである。そこで本稿では、前三世紀後半の伝統社会エドブを取り上げ、近年の研究動向を反映させるかたちで、やや立ち入った検証を試みる。

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