著者
岩田 夏穂
出版者
お茶の水女子大学日本言語文化学研究会
雑誌
言語文化と日本語教育 (ISSN:09174206)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-10, 2007-06

日本語を第一言語とする母語話者(NS)と第二言語とする非母語話者(NNS)の会話では、言語能力において強い立場にあるNSが会話のイニシアチブを取ると考えられてきたが、実際に教育現場でのやり取りを見ると、多様な参加の様相が見られる。本稿では、発話の連鎖の仕方から会話参加の様相を明らかにするイニシアチブ-レスポンス分析を用いて、留学生と日本人学生のペア5組の自由会話に見られる参加のパターンを探り、さらにミクロレベルの質的分析を通してそのパターンの背後にある特徴を調べた。その結果、2組のペアでパターンの一致(対称的参加)、3組にパターンの不一致(非対称的参加)が見られたことから、言語能力が参加の様相を決定するのではないこと、参加の対称性を左右するのは、談話推進のリソースとなる情報が両参加者から提供されるかどうかが重要であることがわかった。この結果から、自由会話という活動とNSとNNSの会話への参加の仕方に見られる特徴との関連を考察した。

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