- 著者
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森田 浩司
- 出版者
- 大阪教育大学附属高等学校池田校舎
- 雑誌
- 研究紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.41, pp.71-81, 2008-10-20
本稿は、鹿児島県指宿市山川において、石敢當に関する現地調査を2度にわたって行い、その分布状況や特徴を明らかとしたものである。石敢當とは、中国起原の魔除けの石で、T字路の突き当たりやL字路の突き当たり、そして少しずれた四差路などに設置され、邪悪な霊が直進して家屋内に進入してこないように、石の霊力で防ぎ鎮めようとするものである。そのような風習は、琉球から伝播してきたものであり、鹿児島がまだ薩摩として琉球と交易をはじめた頃に、その風習がはいってきたと思われる。そして、山川は薩摩藩と琉球との貿易の拠点であったため、その琉球文化の風習が直接入り込んでくる可能性が最も高い地域であった。だからこそ、現在人口約11000人で面積37.18Km^2(旧山川町)と小さな町ではあるが、歴史的にかつ地理的、また民俗学的にも、山川は石敢當の調査・検討する価値がある地域である。