著者
梶木 尚美 藤井 聡子 森田 浩司
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.43, pp.1-17, 2010-12-22

新学習指導要領では、地歴科の各科目を他の二科目と関連付けながら教えるようにと指示している。本校地歴科では、日本史・世界史・地理の教員が大黒屋光太夫をテーマに共同研究をすすめ、教材作成と授業実践を行った。またデジタル化の進みにくい歴史の授業でデジタル教材の作成とプロジェクターを用いた授業展開の可能性を探った。
著者
植村 和美
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.47, pp.27-48, 2014-11-28

本校は平成15年度ASPnetに加盟して以来、高校1・2年生「総合的な学習の時間」で国際理解教育の一環としてESD(持続可能な発展のための学習)に取り組み、問題解決に取り組む姿勢を育んできた。国際枠入学生徒を含め、国際社会に対する意識は高い。昨年10月、57期生は本校初めての海外修学旅行として多民族国家マレーシアを訪問し、多宗教・多言語・多文化といった社会の多様性に触れ、マラヤ大学学生と意見交流を行った。修学旅行までの1年間、「大テーマ(「"Look East政策" の今後」)」「8つの班別テーマ」「個人テーマ」と問題を焦点化し、ワークショップを重ね、修学旅行では、全28班(1班5~6人)による班別交流および全体交流を行い、マラヤ大学主催のJAPAN WEEK・JAPAN FESTIVAL メイン会場で生徒全員によるソーランダンスを披露し文化交流を行った。その交流は、様々な形で現在も継続している。私は国語科の教員として高校2年生古典を担当していたが、同時に「総合的な学習の時間II」「情報C」の授業も担当し、2年担任団の修学旅行主担として、1年間、授業や行事をさまざまな形でESDワークショップに取り入れた。学校では、1人の教員が多くの役割を果たさなければならないが、逆に言えば、1人の教員が多くの面から生徒に学びの機会を提供することができる。生徒自らが学校生活を自己実現の場としてデザインし実践するあり方を目指して、「マレーシア修学旅行」を軸に、「総合的な学習の時間」「学校行事」「情報C」と連携したESDの実践を報告する。
著者
植村 和美
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.45, pp.17-82, 2012-11-20

平成25年度より高等学校新学習指導要領が実施され、また、時を同じく平成25年、OECD国際成人力調査PIAAC(成人が持っている日常生活や職場で必要とされる技能)に基づく社会における「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」の国際報告書が提出され、学校教育がより社会と連動し「生きる力」をはぐくむ基盤となることが期待されている。これまでもOECDの掲げる三つのキー一・コンピテンシー「(1)社会・文化的、技術的ツールを相互作用的に活用する能力」、「(2)多様な集団における人間関係形成能力」、「(3)自立的に行動する能力」に基づくPISA型学力を見据え、自分・他者・社会という三つの関わりを意識した学習活動を進めてきたが、今後いっそう新学習指導要領の掲げる「言語活動の充実」とりわけ「批評、論述、討論など」「伝統や文化に関する教育の充実」が国語教育の重要課題となる。 PISA、PIAACともに提唱する問題解決力・思考型学力の育成を模索しつつ、人間の根本的欲求である表現活動を言語活動と一体化させ、日本の古典文学や伝統文化を理解し自らの生き方への考察を深めるべく、中学・高校を連続する成長過程と捉え、池田地区中高連携学習活動を行った。
著者
大松 敬子
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.45, pp.93-98, 2012-11-20

本研究は高校1年生女子を対象に、ボールエクササイズを用いた「体つくり運動」の授業において、音楽を用いて体を動かすことの楽しさを体験させ、自己の体力を把握し高めることを目標として、教師主導による系統的教材編成の一斉学習に取り組んだ成果をまとめたものである。その結果、体力的側面だけでなく、体育授業に対する情意的側面・認識的側面も高まるものであった。
著者
野見山 亜沙美 山田 典子
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.53, pp.1-8, 2021-03-05

「比較すること」は文学を理解する上で欠かせない過程であり、古典文学に関しても例外ではない。そして古典文学には、かつて実在した人物の登場する作品が数多く存在する。作品が変わればその人物の描かれ方が変化していくことも多く、そこが古典文学の特徴であり、面白さとも言えるであろう。本授業ではそのような「人物像やキャラクターは作者が意図的に操作することができる」という点について、「今までに培った能力を用いて、自ら問題に気付き、自ら解決策を考える」方法を用い、そのために「何が必要であるのか、与えられた選択肢の中から取捨選択する」力を測ろうとした。
著者
梶木 尚美
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.53, pp.21-40, 2021-03-05

「質の高い探究」を高校で実現するための具体的な方法として、探究プロセスにおける3サイクルモデルを提案する。また探究サイクルをスパイラル的に繰り返して学びを深めるためには推進力が必要であり、探究の推進力を生み出すための方策としては学習者とトピックの接点を明確にすることや思考力(批判的思考、振り返り)を鍛えることが効果的である。
著者
森 秀雄
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.44, pp.39-45, 2011-11-18

忘れられた橋田邦彦という一生理学者・政治家・教育者の著書『行の科学』を読み解くことにより、道元の主著『正法眼蔵』が、橋田の科学思想にどのように影響を与えたかを解明した。結論としては、橋田は『正法眼蔵』の一部に、歪めたとはいえないとしても極めて独創的な解釈を施し、それに独自の価値観を付与して、自らの科学思想に取り込み消化したと言えよう。
著者
秋長 幸依 野見山 亜沙美
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
no.52, pp.49-61, 2020-03-06

「国語」という教科は「現代文」・「古文」・「漢文」に分けて学習することが多いが、「漢文」の思想や知識は「古文」の読解にも深く関わってくる。本授業では、『枕草子』第二八〇段「雪のいと高う降りたるを」を用いて「漢文」から「古文」を読み解き、さらに『枕草子』に関する評論文を読んで、深い学びへとつなげることを目的とした。本稿は、その科目横断的な実践を記したものである。
著者
森田 浩司
出版者
大阪教育大学附属高等学校池田校舎
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.41, pp.71-81, 2008-10-20

本稿は、鹿児島県指宿市山川において、石敢當に関する現地調査を2度にわたって行い、その分布状況や特徴を明らかとしたものである。石敢當とは、中国起原の魔除けの石で、T字路の突き当たりやL字路の突き当たり、そして少しずれた四差路などに設置され、邪悪な霊が直進して家屋内に進入してこないように、石の霊力で防ぎ鎮めようとするものである。そのような風習は、琉球から伝播してきたものであり、鹿児島がまだ薩摩として琉球と交易をはじめた頃に、その風習がはいってきたと思われる。そして、山川は薩摩藩と琉球との貿易の拠点であったため、その琉球文化の風習が直接入り込んでくる可能性が最も高い地域であった。だからこそ、現在人口約11000人で面積37.18Km^2(旧山川町)と小さな町ではあるが、歴史的にかつ地理的、また民俗学的にも、山川は石敢當の調査・検討する価値がある地域である。