- 著者
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西山 要一
- 出版者
- 奈良大学総合研究所
- 雑誌
- 総合研究所所報 (ISSN:09192999)
- 巻号頁・発行日
- no.13, pp.95-104, 2005
日本の古代金銅仏を代表する東大寺盧舎那仏(大仏)は、天平勝寳4年(752)に完成し開眼供養が行われた。しかし、鎌倉時代・治承4年(1180)の平重衡の南都焼き討ちによる東大寺金堂(大仏殿)の炎上と重源による建久6年(1195)の再建、さらに室町時代・永禄10年(1567)の松永久秀の三好三人衆攻めによる再度の金堂炎上と江戸時代・元禄5年(1692)の公慶による再興と、2度にわたる被災と再建を繰り返してきた。大仏は被災のたびに像上部が失われ、再建のたびに消失部分を追加鋳造した結果、現在の大仏は蓮華座から膝までが天平時代、腹部が鎌倉時代、胸から頭部までが江戸時代の造作といわれている。