著者
野口 浩 Noguchi Hiroshi
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
琉球大学経済研究 (ISSN:0557580X)
巻号頁・発行日
no.82, pp.15-29, 2011-09

固定資産税の課税は固定資産課税台帳に登録されたところに従って行うこととされているが、企業会計がいうリース取引が行われた場合に、貸主もしくは借主のどちらを固定資産課税台帳に登録すべきか、という問題について、本稿において検討を加える。原則として、ファイナンス・リース取引については、リース物件の所有者である貸主が固定資産課税台帳に登録されて、貸主に固定資産税が課されることになると思われる。しかし、地方税法342条3項は、償却資産について所有権留保付売買が行われた場合は、固定資産税の賦課徴収については、当該償却資産は、売主及び買主の共有物とみなされると規定している。ファイナンス・リース取引の法的性質については種々の説が存在するが、本稿においては、その取引の本質を所有権留保付の割賦売買契約と捉える立場をとる。その前提で、同じ地方税である不動産取得税および特別土地保有税の取扱いを参考にしながら、固定資産税の性質並びに非典型担保物権に対する固定資産税の取扱いについて検討を加えることにより、次の結論を導き出す。「ファイナンス・リース取引については、リース物件が償却資産および土地のいずれの場合においても、リース契約上、リース物件の所有権が借主に移転することとされているリース取引については、借主を固定資産課税台帳に登録して固定資産税を課すことが妥当である。」また、本稿は、セール・アンド・リースバック取引も、リースバック部分が賃貸借取引に該当するため考察の対象とした。そして、次の結論にたどり着く。「セール・アンド・リースバック取引については、その取弓|がどのような目的で行われていようとも、譲受人(貸主)を固定資産課税台帳に登録して固定資産税を課すべきである。」

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