- 著者
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大内 憲昭
- 出版者
- 関東学院大学[文学部]人文学会
- 雑誌
- 関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
- 巻号頁・発行日
- vol.117, pp.189-231,
朝鮮民主主義人民共和国は2009年4月に1998年憲法を修正補充した。しかし最高人民会議で承認された憲法は公表されなかった。筆者が2009年9月に訪朝し、政府の関係機関から憲法テキストを入手し、朝鮮の憲法学者から改正内容に関して詳細な説明を受け、かつ質疑をすることができた。改正憲法は今日の朝鮮の政治状況を反映し、新たに「先軍思想」を規定し、国防委員会委員長を国の「最高指導者」とした。これにより1998年憲法以来「空席」であった「元首」の役割を国防委員会委員長が担うことになった。本稿では、朝鮮の憲法学者の講義を踏まえながら、憲法の改正点と特徴を明らかにしたいと思う。なお、2009年改正憲法全文を翻訳した。