著者
藤枝 繁
出版者
鹿兒島大学水産學部
雑誌
鹿兒島大學水産學部紀要 = Memoirs of the Faculty of Fisheries, Kagoshima University (ISSN:0453087X)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.69-74, 2007-12

博多港は、120万を超える大消費地福岡市の中心に位置し、日本海周辺の豊富な水産資源が国内外から集まる港として古くから栄えてきた。またこの博多港を有する博多湾(福岡湾)では、クルマエビ、シャコ、カレイ等の底性動物を対象にした「エビ漕(こぎ)漁」と呼ばれる小型機船底曳網漁業(手繰第二種漁業)が行われている。1997年頃からこの網に中国製ビール瓶や油の付いたウエス等が入るようになり、漁獲物が損傷する被害や油臭が付くといった被害が頻発するようになってきた。その発生源は、目撃情報から博多湾に錨泊する中国鮮魚運搬船とされており、また同船は海上でのごみの不法投棄以外にも錨泊中に強風で走錨し、定置網やカゴ漁具等を破損させるといった事件も発生させている。本報では、同作戦で海底から回収されたごみの内容と漁協に届けられた中国鮮魚運搬船による漁業被害について整理し、博多湾における海上投棄ごみによる問題点について述べる。

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