著者
Sasaki Mitsuya
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部言語学研究室
雑誌
東京大学言語学論集 (ISSN:13458663)
巻号頁・発行日
no.31, pp.287-316, 2011-09-30

古典ナワトル語には、場所詞が空間意味役割を特定しない(path neutrality)という特質がある。したがって、同じ形式が動作の着点を表すこともあれば、起点や位置を表すこともある。本稿では、こうした古典ナワトル語の空間表現の性質を意味類型論的観点から考察し、その類型論的帰結について論じる。まず、古典ナワトル語の空間表現体系を、Bohnemeyerらが"radically V-framed"であると主張しているユカテク語の空間表現体系と比較し、前者が"radical V-framed"な体系の例にあたらないことを指摘する。続いて、古典ナワトル語の空間表現体系をclass-locativeな体系と解釈することで、その特徴を適切にとらえることができると主張する。最後に、この言語内的分析がほかの言語の分析に応用できる可能性について論じる。論文 Articles

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