- 著者
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高橋 克已
綾 牧子
- 出版者
- 文教大学
- 雑誌
- 教育研究所紀要 (ISSN:09189122)
- 巻号頁・発行日
- no.15, pp.43-54, 2006
いわゆる「学級崩壊」の原因を教師の指導力不足に求める考え方はマスメディア等を通じて広く定着し、近年では特に「子どもたちは変化してきているのに、それに対応できないベテラン教師が『学級崩壊』を引き起こす」という原因帰属様式がかなり広まっている。本稿ではそうした原因帰属様式の問題性を考察する。まず「学級崩壊」を取り上げたテレビ番組を時系列で比較分析することによりメディアにおける原因帰属様式の変化を示し、また現職教員に対するアンケート結果からそうした原因帰属様式の広まりを指摘する。次に、ある公的機関による統計資料の結果が、そうした原因帰属様式と矛盾することに着目し、その矛盾を「予言の自己成就」という観点から説明することを試みる。すなわち、「学級崩壊」を起こす危険性のあるクラスはある程度予測可能であり、そうしたクラスを忌避する傾向が教師間に生じ、その結果としてベテラン教師が担当せざるを得ない状況となり、その後実際に「学級崩壊」を引き起こした場合、「予言の自己成就」によってますますそうした原因帰属様式は定着していく、ということである。最後に、この仮説を実証するための若干の実証的根拠を紹介するとともに、その問題性について考察している。