- 著者
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田中 則仁
Tanaka Norihito
- 出版者
- 神奈川大学経営学部
- 雑誌
- 国際経営論集
- 巻号頁・発行日
- vol.45, pp.79-91, 2013-03-31
2012年は日本経済が政治的動向を反映し、企業環境としては激動の一年であった。2011年3月の東日本大震災以降、日本企業のみならず、世界経済へも多大な影響と、多くの教訓を残した。さらに、ものづくりの仕組みとして緻密に構築された日本企業の生産体制は東北地方の生産拠点が影響を受けたこと、その後の復興が思いのほか進まなかったことである。さらに2011年10月からのタイ中央部での記録的な大洪水で、460社に上る日系企業が被害を受けて操業が停止した。また国際金融市場では、EU諸国の財政危機に端を発した通貨不安から円買いが進み、2011年の円平均値は79円を記録した。2012年に入っても円高基調がしばらく続いたが、11月の衆議院解散を受けて日本企業にとっては大きな環境変化があった。自民党第二次安倍新政権の登場により、日本企業は抜本的な国際経営戦略の再構築を迫られている。これらの国際企業環境の変化を考慮しながら、製造業における技術の課題を考えた。そのための新たな戦略としてロボット産業に着目し、企業の再生戦略を考察した。特に中小企業向けの支援施策を早急に策定し、官民一体となって取り組むことが急務である。研究論文