著者
田中 則仁 Tanaka Norihito
出版者
神奈川大学経営学部
雑誌
神奈川大学国際経営論集 = Kanagawa University international management review (ISSN:09157611)
巻号頁・発行日
no.52, pp.91-101, 2016-10

2016年8月に、第3次安倍政権の第2次改造内閣が発足した。再登場以来4年半になる安倍政権は、内外の課題に取り組んでいるが、地方創生の分野ではまだ目立つた成果が出ていない。全国各地の地場産業や特産品がある中で、それが世界的なブランドとして定着した例は数少ない。その中でも、愛媛県今治市の地場産業であるタオル製造は、長い歴史の中でいくつもの盛衰を経験して世界的なブランドに成長した事例として、特筆できよう。今治タオルが歩んできた道のりは、他の地域産業の振興にとっても大変参考になる。特に、国際経営の視点から、為替変動による価格競争力の低下、それに連動する安い海外製品の流入と国際市場での競争激化。さらにブランド価値を維持するための商標登録とそれをめぐる外国企業や各国政府の特許政策との訴訟事件など、知的財産権の紛争なども避けられない課題である。日本各地の地場産業振興にとって、参考になる事項が多い。さらの今後の課題を検証し、また企業はどのような視点で新たな局面に対応すべきかを考察していく。研究ノート
著者
田中 則仁 Tanaka Norihito
出版者
神奈川大学経営学部
雑誌
国際経営論集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1-13, 2015-03-31

2016年の日本経済は、第3次安倍政権の4年目で国内外の課題に直面した年明けを迎えた。ヨーロッパの経済動向をみると、ギリシャ経済危機は依然として不安材料であり、アメリカの金利引き上げへの方向転換は、世界の金融資本市場での資金をアメリカ国内に引き寄せることになるであろう。その結果、アジア地域の資金がアメリカへと流出し、新興国の資金難を引き起こす懸念が強まっている。国際市場での取引が多い企業にとって、2016年は事業活動に多大な影響を持ついくつかの新制度が始まる年でもある。中国主導で署名が整ったアジア・インフラ投資銀行(以下、AIIB)は、アジア地域のインフラ整備に大きな役割を果たすであろうし、そのための新規需要も見込めよう。また環太平洋経済連携協定(以下、TPP)が2015年10月、5年越しの通商交渉期間を経て大筋合意に達した。さらに2015年12月末には、アジア共同体が正式にスタートし、その中の大きな柱であるアセアン経済共同体(以下、AEC)は、域内10か国のモノの国境を引き下げ市場の活性化を導くであろう。本稿では、これらアジア地域のインフラ形成が、今後どのようにして企業環境に影響を与えるか、また企業はどのような視点で新制度に対応すべきかを考察していく。研究論文
著者
田中 則仁 Tanaka Norihito
出版者
神奈川大学経営学部
雑誌
神奈川大学国際経営論集 (ISSN:09157611)
巻号頁・発行日
no.43, pp.65-75, 2012-03

2011 年は日本企業にとって激動の一年であった。3 月の東日本大震災は、日本企業のみならず、世界経済へも多大な影響と、多くの教訓を残した。さらに、ものづくりの仕組みとして緻密に構築された日本企業の生産体制は、東北地方の生産拠点が影響を受けたこと、その後の復興が思いのほか進まなかったことである。10 月にはタイ中央部での記録的な大洪水で、460 社に上る日系企業が被害を受けて操業が停止した。また国際金融市場では、EU諸国の財政危機に端を発した通貨不安から円買いが進み、2011 年の円平均値は79 円を記録した。この記録的な円高基調は、今後しばらくは続くと考えられ、日本企業にとっては抜本的な国際経営戦略の再構築を迫られている。これらの国際企業環境の変化を考慮しながら、製造業における技術の課題を考察した。特に円高下の日本企業がどのような方向性でものづくりの競争優位を維持していくか、それには技術に込められた匠の技をさらに磨いていくことが必要である。そのための戦略と施策を早急に考察し、官民一体となって取り組むことが急務である。研究論文
著者
田中 則仁 Tanaka Norihito
出版者
神奈川大学経営学部
雑誌
国際経営論集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.79-91, 2013-03-31

2012年は日本経済が政治的動向を反映し、企業環境としては激動の一年であった。2011年3月の東日本大震災以降、日本企業のみならず、世界経済へも多大な影響と、多くの教訓を残した。さらに、ものづくりの仕組みとして緻密に構築された日本企業の生産体制は東北地方の生産拠点が影響を受けたこと、その後の復興が思いのほか進まなかったことである。さらに2011年10月からのタイ中央部での記録的な大洪水で、460社に上る日系企業が被害を受けて操業が停止した。また国際金融市場では、EU諸国の財政危機に端を発した通貨不安から円買いが進み、2011年の円平均値は79円を記録した。2012年に入っても円高基調がしばらく続いたが、11月の衆議院解散を受けて日本企業にとっては大きな環境変化があった。自民党第二次安倍新政権の登場により、日本企業は抜本的な国際経営戦略の再構築を迫られている。これらの国際企業環境の変化を考慮しながら、製造業における技術の課題を考えた。そのための新たな戦略としてロボット産業に着目し、企業の再生戦略を考察した。特に中小企業向けの支援施策を早急に策定し、官民一体となって取り組むことが急務である。研究論文