著者
柿本 佳美 KAKIMOTO Yoshimi
出版者
京都女子大学現代社会学部
雑誌
現代社会研究 (ISSN:18842623)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.39-51, 2009-12

本稿は、「甘え」が象徴する社会構造によって、日本社会における「自由」と「権利」概念理解のずれが生じることを指摘する。土居は、日本社会においては、「甘え」に象徴される、子が親から無条件で受容される関係が関係性のモデルとなることで、個人による集団への従属を善とする社会規範が形成され、「自由」を「わがまま」とも理解するずれが生じたことを指摘する。明治初期における西欧世界からの法システムの導入は、個々人の属性に依存する社会関係が存続したことで、諸概念の理解においてゆがみを伴っていた。属性に依存する社会規範は、社会関係が希薄化した現代社会においても、個々人に「分を守る」ことを求める。「自由」と「権利」の概念理解の両義性は、属性・役割を社会規範の規準とし、個の意識を曖昧にすることで「甘え」を許容する日本の社会構造から生じる。ここに、既存の社会にはない新しい知の理解には、その社会の価値規範の影響によるずれを避けることができないことを見て取ることができよう。This article aims to clarify the reason why Japanese people have the double-edged understanding about the notion of the freedom and the rights. The word "Amae" symbolises the social structure in Japan where parents accept the unconditional indulgence of their child. Being based on this model of the relationship, this structure makes the miss-leading about the freedom and the rights, sustained by the social norms which premise the dependence of the individual to the society. This doulde-edged understanding on the freedom and the rights comes from the structure of the Japanese society, which depends on the personal social status and position and which weakens the self-consciousness, too. We can see the inevitable influence of the social value and norm on the introduction of the sciences which have developped in the different culture back ground.

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CiNii 論文 -  「甘え」の構造と「自由」・「権利」の両義性 https://t.co/ei6ZN9LvdF #CiNii

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