- 著者
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西尾 久美子
NISHIO Kumiko
- 出版者
- 京都女子大学現代社会学部
- 雑誌
- 現代社会研究 (ISSN:18842623)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, pp.49-62, 2010-12
- 被引用文献数
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本論は、宝塚歌劇という日本独特の興行組織がなぜ発展・定着したかについて、トップスターのキャリア形成と興行の仕組みに焦点を当てて考察するものである。100年近い伝統のある宝塚歌劇団のメンバーは、宝塚音楽学校の卒業生であるという限定がある。そのため宝塚音楽学校在学中の10代後半の早い時期からスター候補生を見出し、劇団に所属後も技能進捗に応じた場を与えて育成することが可能になっている。また、この仕組みは、ファンがスター候補生を見つけることを容易にし、スター候補生をファンが応援し、自分たちで育て上げ退団まで見送ることにつながっている。さらに、スターになったタカラジェンヌは自ら退団という節目を選択するというキャリア形成の流れができている。このスター選抜システムと退出をうながす二つの機能が興行の仕組みに織り込まれていることによって、組織内の新陳代謝も促され人件費の高騰も抑えることができている。宝塚劇団の運営は、トップスターのキャリア形成と興行の形態が結びつくビジネスシステムになっているからこそ、その長期的継続につながっているといえる。This paper is considered paying attention to the structure of personnel training about how the Takarazuka, a performance organization peculiar to Japan expands. The Takarazuka is established in 1913 and she must graduate the Takarazuka music academy attached to the opera to be a member of the opera. This system is the foundation of the star selection system that the opera and also enthusiastic loves of the opera can find a future star and support her since before she enters the opera. There is also a career development mechanism that the members in the opera who are not to be a star have make a choice whether she drop out of the opera. Management of the Takarazuka opera has the personnel system which brings up the star performers continuously and this connects with the succeed of a show and make the Takarazuka a tradition of about 100 years.