- 著者
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小林 健彦
KOBAYASHI Takehiko
- 出版者
- 新潟産業大学附属東アジア経済文化研究所
- 雑誌
- 新潟産業大学経済学部紀要 (ISSN:13411551)
- 巻号頁・発行日
- no.42, pp.33-68, 2013-06
日本列島の中では、文献史資料に依って確認を取ることが可能な古代以降の時期に限定してみても、幾多の自然災害―気象災害、地震災害や津波、火山噴火、そして伝染病の蔓延等に見舞われ、その度に住民等は苦しめられて来た。しかし、人々はそれらを乗り越えながら、現在に至る日本社会を構築して来たのである。そこで、本稿では、日本古代に編纂された記録(正史)である「日本書紀」や「続日本紀」を中心素材として、これらが編纂された8世紀当時の人々の認識として、人為的な災害である疫病がどの様な日本語のスタイルで示されていたのかを検証し、それを以って当時の人々に依る伝染病に拘わる災害観や災害対処の文化論を探って行く作業を試みた。