- 著者
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川﨑 千加
- 雑誌
- 司書課程年報(桃山学院大学司書課程)
- 巻号頁・発行日
- no.8, pp.29-42, 2013-03-15
大阪女学院大学及び短期大学の初年次情報リテラシー科目では、半期15週の授業を通して、論文作成のための基本的なスキルを身に付けることを目指している。論文作成プロセスを10のステップにわけ、各ステップ毎に課題を提出しながら、各自の論文を仕上げていくものとなっている。本稿では、この小論文作成過程において、学生がどのように図書館を利用しているかを中心に、学生の記述式アンケートから把握した。616人のアンケートの記述文から、khcoder を用いて抽出された総抽出語数は219,727語、語彙数は5,981語で、「図書館」の出現数は679回であった。本稿ではこの「図書館」に関する679件、170人の記述内容を分析した。論文作成過程では、テーマの選択段階から事前調査、資料の収集段階で図書館を積極的に活用し、資料を読み、考え、執筆する段階では利用が減少していた。また、関連資料が図書館で見つからない、探し方が分からないなど、資料がないことへの不安が多く見られた。このような分析から、図書館の蔵書の充実が論文作成過程で果たす役割は大きく、資料を探しきれていない学生には司書による適切な支援が求められることを示唆した。なお、本稿は2013年3月15日発行『桃山学院大学司書課程年報』第8号の原稿に、若干の修正を加えたものとなっている。