著者
横井 秀一 井川原 弘一 渡邉 仁志
出版者
岐阜県森林研究所
雑誌
岐阜県森林研究所研究報告 (ISSN:1882840X)
巻号頁・発行日
no.38, pp.17-26, 2009-03
被引用文献数
1

間伐が遅れて過密状態になったヒノキ人工林は、下層植生が貧弱になる。下層植生が衰退すると、表土流亡の危険性が高くなる。このため、下層植生を発達させるためにも間伐が必要であるとされ、下層植生の発達を目的とした公共事業(例えば、保安林整備事業における本数調整伐)なども行われている。しかし、間伐が行われたヒノキ林で、必ず下層植生が発達するとは限らない。間伐されたヒノキ林に下層植生が発達しない理由として、中村は、間伐率が低いこと、間伐以前に無植生状態が長く続いていたこと、間伐間隔があきすぎていたことが考えられるとし、横井らは、下層植生が衰退したヒノキ林では埋土種子が少ないこと、下層植生の発達に対して間伐後の林内の明るさが十分でないことが考えられるとしている。ここで、その理由が間伐率の低さや林内の明るさ不足にあるとすれば、林内がより明るくなるような間伐を行えば、下層植生の発達が期待できることになる。間伐後の林内を明るくするには、間伐率を高くする(「強度な間伐」とする)ことの他に、間伐のときにところどころを小集団で伐採する(「群状間伐」とする)ことによって、部分的に明るい箇所をつくり出すという手法も考えられる。前者は林床全体に、後者は部分的にでも下層植生を発達させることで、表土流亡の危険性を低くすることができる可能性がある。本研究は、ヒノキ人工林における群状間伐と強度な間伐の、下層植生の発達に対する効果を検証する目的で実施した。本報告では、間伐後2年間の下層植生の変化を示し、下層植生の発達に対するこれらの間伐の効果を考察する。

言及状況

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岐阜県29〜42年生ヒノキ人工林。通常間伐より群状間伐の方が明るくなり、下層植生も多い傾向。間伐後1年目より2年目で下層植生が大幅に増加。 https://t.co/2fbtN49bQ2

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