著者
橘 雅明
出版者
東北農業研究センター
雑誌
東北農業研究センター研究報告 (ISSN:13473379)
巻号頁・発行日
no.113, pp.33-66, 2011-03

帰化雑草ハルザキヤマガラシとカミツレ類の東北地方における分布と発生実態および人為的影響下における生理生態的特性を分析し、得られた知見に基づいて、防除法を検討した。ハルザキヤマガラシは東北地方に広く分布し、河川周辺および用排水路周辺の水田畦畔・路傍に発生が多く、河川や用排水路を媒体として分布拡散していると推定された。ハルザキヤマガラシは、畦畔とコムギ圃場で主とする繁殖様式を変え、耕起と草刈りなどの異なる管理作業に可塑的に対応して生存していた。そのため、周辺畦畔における適切な雑草管理と圃場内での種子発生個体を対象とした防除が重要と考えられた。カミツレモドキは、東北全県のコムギ圃場などにみられ、秋季と春季に盛んに出芽し、秋季に出芽した越冬個体がコムギの生育を抑制し、減収の原因となっていた。東北地方のコムギ栽培では、播種直後のリニュロン水和剤土壌処理、秋季の出芽終期にあたる11月上旬のアイオキシニル乳剤処理、5月上旬の条間中耕またはアイオキシニル乳剤処理のうち、いずれか2つを用いるとハルザキヤマガラシとカミツレ類の防除は可能であった。

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