著者
橘 雅明 伊藤 一幸 渡邊 寛明 中山 壮一 山口 裕文
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.175-184, 2008 (Released:2009-01-24)
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

東北地域の転作コムギ畑で問題となっているハルザキヤマガラシ(Barbarea vulgaris R.Br.),カミツレモドキ(Anthemis cotula L.)および侵入が危惧されるイヌカミツレ(Matricaria inodora L.)の防除法を策定するために,出芽を中心にこれらの生活史を調査し,除草剤と中耕による管理について検討した。カミツレモドキは,青森県の秋播きコムギ畑では,主に秋季に出芽する越冬個体が雑草害の原因となっていた。カミツレモドキは春季と秋季の年2回種子より出芽していた。コムギ畑に発生したハルザキヤマガラシ,カミツレモドキおよびイヌカミツレの帰化雑草3草種に対しては,播種直後のリニュロン水和剤土壌処理,秋季の出芽終期にあたる11月上旬のアイオキシニル乳剤処理,5月上旬の条間中耕またはアイオキシニル乳剤処理に高い除草効果がみられた。上記の3つの除草管理時期のうち,いずれか2つの時期に適切な除草管理を実施すれば各草種の収穫期乾物重は無除草区の4%以下となり,帰化雑草3草種のいずれでも防除できる。カミツレモドキとイヌカミツレについてはチフェンスルフロンメチル水和剤による茎葉処理でも高い除草効果がみられた。
著者
橘 雅明 渡邊 寛明 伊藤 一幸
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.235-241, 2002
被引用文献数
3

ヨーロッパ原産の帰化雑草ハルザキヤマガラシ (<i>Barbarea vulgaris</i> R. Br.) の東北地域における発生実態について, 農業改良普及センターを対象としたアンケート調査および観察調査を実施した。1993年と1996年のアンケート調査では, 東北全県からあわせて29件の発生確認の回答があった。2001年に実施した観察調査においても全ての県で発生が確認されたことから, 東北地域において本種が広く分布し, 定着していることが明らかとなった。特に発生数の多い地域は, 青森平野, 秋田県横手盆地, 岩手県北上盆地, 雫石盆地, 遠野盆地であった。<br>ハルザキヤマガラシの発生が多かった秋田県横手盆地の仙北地域では, 1994年と比べて2001年には高密度で発生している地点数は減少したが, 発生地点数は増加し, 分布は拡大していた。ハルザキヤマガラシの種子は2年間の水中貯蔵後も3割程度が生存し, 発芽力を有することが明らかとなった。また, 河川周辺および用排水路周辺の水田畦畔・道路端に発生が多く, 河川の中州や用水整備などで畦畔に上げられた用排水路の底土において発生が確認された。これらのことから, 河川や用排水路がハルザキヤマガラシの拡散経路の一つであると考えられた。
著者
橘 雅明 伊藤 一幸 渡邊 寛明 中山 壮一 山口 裕文
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.175-184, 2008-12-24
被引用文献数
2

東北地域の転作コムギ畑で問題となっているハルザキヤマガラシ(Barbarea vulgaris R.Br.),カミツレモドキ(Anthemis cotula L.)および侵入が危惧されるイヌカミツレ(Matricaria inodora L.)の防除法を策定するために,出芽を中心にこれらの生活史を調査し,除草剤と中耕による管理について検討した。カミツレモドキは,青森県の秋播きコムギ畑では,主に秋季に出芽する越冬個体が雑草害の原因となっていた。カミツレモドキは春季と秋季の年2回種子より出芽していた。コムギ畑に発生したハルザキヤマガラシ,カミツレモドキおよびイヌカミツレの帰化雑草3草種に対しては,播種直後のリニュロン水和剤土壌処理,秋季の出芽終期にあたる11月上旬のアイオキシニル乳剤処理,5月上旬の条間中耕またはアイオキシニル乳剤処理に高い除草効果がみられた。上記の3つの除草管理時期のうち,いずれか2つの時期に適切な除草管理を実施すれば各草種の収穫期乾物重は無除草区の4%以下となり,帰化雑草3草種のいずれでも防除できる。カミツレモドキとイヌカミツレについてはチフェンスルフロンメチル水和剤による茎葉処理でも高い除草効果がみられた。
著者
橘 雅明
出版者
東北農業研究センター
雑誌
東北農業研究センター研究報告 (ISSN:13473379)
巻号頁・発行日
no.113, pp.33-66, 2011-03

帰化雑草ハルザキヤマガラシとカミツレ類の東北地方における分布と発生実態および人為的影響下における生理生態的特性を分析し、得られた知見に基づいて、防除法を検討した。ハルザキヤマガラシは東北地方に広く分布し、河川周辺および用排水路周辺の水田畦畔・路傍に発生が多く、河川や用排水路を媒体として分布拡散していると推定された。ハルザキヤマガラシは、畦畔とコムギ圃場で主とする繁殖様式を変え、耕起と草刈りなどの異なる管理作業に可塑的に対応して生存していた。そのため、周辺畦畔における適切な雑草管理と圃場内での種子発生個体を対象とした防除が重要と考えられた。カミツレモドキは、東北全県のコムギ圃場などにみられ、秋季と春季に盛んに出芽し、秋季に出芽した越冬個体がコムギの生育を抑制し、減収の原因となっていた。東北地方のコムギ栽培では、播種直後のリニュロン水和剤土壌処理、秋季の出芽終期にあたる11月上旬のアイオキシニル乳剤処理、5月上旬の条間中耕またはアイオキシニル乳剤処理のうち、いずれか2つを用いるとハルザキヤマガラシとカミツレ類の防除は可能であった。
著者
橘 雅明 渡邊 寛明 伊藤 一幸
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.235-241, 2002-12-27
被引用文献数
2

ヨーロッパ原産の帰化雑草ハルザキヤマガラシ (Barbarea vulgaris R. Br.) の東北地域における発生実態について,農業改良普及センターを対象としたアンケート調査および観察調査を実施した。1993年と1996年のアンケート調査では,東北全県からあわせて29件の発生確認の回答があった。2001年に実施した観察調査においても全ての県で発生が確認されたことから,東北地域において本種が広く分布し,定着していることが明らかとなった。特に発生数の多い地域は,青森平野,秋田県横手盆地,岩手県北上盆地,雫石盆地,遠野盆地であった。ハルザキヤマガラシの発生が多かった秋田県横手盆地の仙北地域では,1994年と比べて2001年には高密度で発生している地点数は減少したが,発生地点数は増加し,分布は拡大していた。ハルザキヤマガラシの種子は2年間の水中貯蔵後も3割程度が生存し,発芽力を有することが明らかとなった。また,河川周辺および用排水路周辺の水田畦畔・道路端に発生が多く,河川の中州や用水整備などで畦畔に上げられた用排水路の底土において発生が確認された。これらのことから,河川や用排水路がハルザキヤマガラシの拡散経路の一つであると考えられた。