著者
Wolanski Bartosz
出版者
九州大学大学院比較社会文化学府
雑誌
比較社会文化研究
巻号頁・発行日
vol.34, pp.67-78, 2013-09-09

タブー語(卑語、罵倒語)は一般の言語環境では否定的に評価され、場合によって禁止される言葉であるが、ポーランドの日常的コミュニケーションでは頻繁に使われている。タブー語は言語攻撃や相手に自分の意志を押し付ける行為だと見なされるため、一種の男らしさと結びつく傾向にある。しかし、男性よりも女性がタブー語を多く知っていることや一部のタブー語は男性より女性によく使われていることもあるという調査結果もあった。ポーランドではタブー語は普段絶対的に低く評価され、一切使われなくなることが一番望ましいという意見が多い。ポーランド語学の研究でもこのような声が多数上がっているので、より客観的な記述的研究を行う必要があると思われる。本研究の目的はポーランドの社会におけるタブー語使用に対するジェンダーステレオタイプを調べることである。そのために、書き言葉コーパスから二つの使用頻度の高いタブー語を検索し、使用例を分析した。話者達の性別、タブー語の意味、そしてそのほかの文脈情報を考慮に入れ、質的及び量的調査を行った。さらに、タブー語の使用を制限するまたは禁止するメタ言語的な発話にも注目した。フィクション作品は必ずしも実際の日常会話を反映しているとは限らないが、幅広い書き言葉コーパスをデータにした研究によってポーランド社会におけるジェンダー・イデオロギーを明らかにすることができると言えよう。

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