- 著者
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吉岡 一男
Kazuo Yoshioka
- 雑誌
- 放送大学研究年報 = Journal of the Open University of Japan (ISSN:09114505)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, pp.117-126, 2010-03-23
おうし座RV型星は、主極小と副極小を交互にくり返す光度変化に特徴がある半規則的な変光星である。この変光星は、光度曲線をもとにRVa型とRVb型に細分類されており、RVb型が脈動周期に重なって長周期の光度変化を示すのに対して、RVa型はそのような長周期変化を示さない。またこの変光星は可視域のスペクトルをもとに、酸素過剰なAグループと炭素過剰なB,Cグループに細分類されている。 われわれは、岡山天体物理観測所の188cm反射望遠鏡に偏光分光測光装置(HBS)を取り付けて、明るい4個のおうし座RV型星の偏光分光観測を行った。そして、それぞれの星に対して星間偏光を差し引いて固有偏光を求め、固有偏光の波長依存性に関して次の結果を得た。(1)HBSで求めたふたご座SS星の固有偏光の波長依存性には3つのタイプがある。それらは脈動変光の位相の違いによると思われる。(2)HBSで求めたいっかくじゅう座U星の固有偏光の波長依存性には4つのタイプがある。それらは長周期光度変化の位相の違いによると思われる。(3)HBSで求めたオリオン座CT星の固有偏光の波長依存性は、多色偏光測光装置(MCP)で求めた結果に等しい。したがって、オリオン座CT星の固有偏光は時間的に一定と思われる。(4)HBSで求めたおうし座座TV星の固有偏光の波長依存性には4つのタイプがある。それらは長周期光度変化の位相の違いによると思われる。ただし、MCPで求めた両者の相関関係とは異なっている。