著者
沢田 善太郎
出版者
広島国際学院大学現代社会学部
雑誌
現代社会学 (ISSN:13453289)
巻号頁・発行日
no.5, pp.3-24, 2004

本稿ではコンドルセが『多数決論』で提出した陪審定理を検討し,社会的決定過程の分析に役だちそうないくつかの含意をみちびくとともに,その限界を指摘する。陪審定理は啓蒙主義の人間観・真理観に制約されている。この結果,陪審定理をもちいてさまざまな価値が錯綜する現実の意思決定過程を分析しようとすると,困難が生じる。それゆえ,今日の社会的選択理論は,コンドルセがいわば窮余の策としてもちいたコンドルセ規則をベースに展開し,陪審定理をかえりみることはすくない。にもかかわらず,社会的決定過程において正しい決定がくだされる確率を探求するコンドルセの議論は,社会的選択理論の今後の発展にとって無視できない課題を示唆している。

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