著者
日向野 智子
出版者
立正大学心理学研究所
雑誌
立正大学心理学研究所紀要 (ISSN:13482777)
巻号頁・発行日
no.8, pp.65-75, 2010

本研究では、特定の他者に対する対人苦手意識に影響を及ぼす要因として、対人苦手意識の発生原因に対する認知である「対人苦手意識の原因帰属」と、日ごろの「人づきあいにおける苦手意識」とを取り上げ検討を行った。研究1では、対人苦手意識の原因帰属によって、対人苦手意識における自己否定・他者否定の感情が異なるか検討した。多くの回答者が、同級生やクラスメイトなど、身近な存在に対して対人苦手意識を感じており、その原因は両者にあると認識されていた。また、対人苦手意識における自己否定の傾向は、対人苦手意識が自分または両者の相互作用の結果として生じていると考える女性ほど高いことが明らかになった。このような傾向は男性にはみられず、対人苦手意識における自己否定と対人苦手意識の原因帰属との関連について、性差が確認された。これに対して、対人苦手意識における他者否定の傾向には性差はなく、相手のせいで対人苦手意識が生じていると感じるほど、他者否定の傾向が高まることが見出された。研究2では、日ごろの人づきあいが対人苦手意識に及ぼす影響にについて検討を行った。主たる結果として、人づきあいにおける懸念の高さが対人苦手意識の自己否定を高めることが明らかになり、人づきあいにおける苦手意識と対人苦手意識との関連が明らかになった。

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