- 著者
-
佐藤 嘉広
Sato Yoshihiro
- 出版者
- 国立大学法人岩手大学平泉文化研究センター
- 雑誌
- 岩手大学「平泉文化研究センター年報」 = Hiraizumi studies (ISSN:21877904)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, pp.51-68, 2014
平成24 年(2012年、以下西暦表記)8月、岩手県教育委員会では岩手大学等と共同で「天地之中にある登封の歴史遺産群」(Historic Monument of Dengfeng in"The Centre of Heaven and Earth"、以下、「登封」)に関し、現地調査を実施した。 「登封」は中国河南省に所在する資産群で、2008 年に推薦書が提出され、2010年の第34 回世界遺産委員会(於:ブラジリア)において、世界遺産一覧表に記載されている。この期間は、「平泉の文化遺産」(以下、「平泉」)が記載延期から記載に向けて作業を進めていた期間と重複し、「登封」が記載に至る過程は「平泉」にとって大いに参考とすべき内容があったものの、当時は「平泉」そのものの推薦書改定作業に追われたことから、十分な情報収集を行いえなかったものである。 2011年6月、「平泉」は「平泉-仏国土(浄土)を表す建築、庭園及び考古学的遺跡群-」として記載された。当初推薦しながらも記載されていない資産の一部については、拡張による追加を目指した取り組みを進めた結果、2012年9月、「平泉」は再び暫定一覧表に記載された。 今後は、暫定一覧表記載内容をベースとして、「平泉」の新たな価値証明を行っていくこととなるが、その際、「登封」における記載過程を調査する必要がある旨の指導を文化庁よりいただいたものである。