- 著者
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大野 仁美
- 出版者
- 麗澤大学大学院言語教育研究科
- 雑誌
- 言語と文明 : 論集 (ISSN:21859752)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, pp.153-159, 2014-03
日本語において文末に置かれる「ダ」が述語名詞句に後続しており、その主語となる名詞句が存在する場合、「ダ」はコピュラであると解釈されうる。しかし文中にはNPが1つしかない場合も、またNP が2つあってもそれらが主語と述語の関係になっていない場合もある。後者のような例としてよく知られているものにいわゆる「ウナギ文」があるが、その解釈をめぐっては省略や分裂文といった文の情報構造の分析が大きく関与する。本稿では「ダ」が省略などの情報構造上の現象と深く関わりをもつことを示したのちに、コピュラそのものが焦点マーカーと解釈される言語の例をあげ、日本語の「ダ」そのものはどの程度あるいはどのように情報構造と関わりを持つと考えられるのか問題を提起する。