著者
鈴木 堅弘
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.17-75, 2011-10

本論は、浮世絵春画の借用表現に着目し、おもに<粉本主義の伝統>、<模倣の「趣向」化>、<出版元の依頼>の視座から、そのような表現が用いられた理由を解明する。 またこの問題を考察するにあたって、浮世絵春画の図柄だけを取り上げるのではなく、<唐本の挿絵>、<草子本の挿絵>、<浮世絵>との比較検証を積極的におこなった。なかでもとくに重視したのが<春画>と<浮世草子の挿絵>の関係である。従来の春画研究では双方の比較はほとんど試みられておらず、本論ではおもに西鶴浮世草子と八文字屋浮世草子を取り上げ、その挿絵と春画の類似画の関係性を考察する。またその際に、単に図柄が似ているという指摘に留まらず、むしろ双方の差異に注目し、春画が同時代の文芸表現に影響を受けつつも、その変奏表現を描くという創作の実態を明らかにする。

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【論文】春画と挿絵 : 浮世絵春画における借用表現について Shunga and Illustration : The Imitative Expressions in Ukiyo-e Shunga http://t.co/WyLsDGezfk

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