著者
田村 亮輔 中川 宙飛 五嶋 聖治
出版者
北海道大学大学院水産科学研究科
雑誌
北海道大学水産科学研究彙報 (ISSN:13461842)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.37-44, 2014-07

アサリRuditapes philippinarumはサハリンから日本,朝鮮半島,中国に分布し,潮間帯から水深約10mまでの砂礫泥底に生息する潜砂性の二枚貝である(松隈,2004)。日本においては古くから沿岸漁業の重要種として漁獲が行われてきたが,近年その資源は減少傾向にあり(伊藤,2002; 多賀ら,2005; 松川ら,2008),資源管理技術の確立が望まれている。適切な資源管理を行う上で本種の成長や成熟に関する情報は不可欠であるが,北海道におけるそれらの知見は本州や九州に比べて乏しく,北海道内においてもアサリ漁業の中心である道東域(中川,1994)に限られているのが現状である。北海道函館湾に面する北斗市(旧上磯町)館野地区では,殻長32mm以上の個体を対象に漁獲が行われている。しかし当該地域においては本種の産卵期についてわずかに知見があるのみで(清水ら,2006),成長に関する情報は不足している。

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