著者
栁田 直美
出版者
一橋大学国際教育センター
雑誌
一橋大学国際教育センター紀要 (ISSN:21856745)
巻号頁・発行日
no.5, pp.49-63, 2014

日本語学習者に対して議論の場における前置き表現の効果的な指導を行うためには、教授項目の選定とともに、提示された前置き表現を学習者がどのように使用し、その使用がどのように変化していくかについて、実際の発話データをもとに明らかにする必要がある。そこで、中国人日本語学習者対象の「討論会」をデータとし、議論の場において他者に反対意見を述べる際に共感・理解を表す形で配慮を示し、相手発話との関連を明示的に示す「他者発言容認の前置き表現」について、学習者の使用実態の変化を分析した。その結果、前置き表現が単純な指示詞を用いたものから、相手の発話を具体的に取り込むものに変化する一方、複合形を作りにくい形式の選択を避け、「確かに」のような母語の影響が考えられる表現形式に使用が偏る傾向が明らかになった。

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