著者
金子 雄司
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.78, pp.1-22, 2014

20世紀はじめに擡頭した書誌学の新たな潮流は,後に新書誌学と命名されることになる。この学派に連なる研究者たちは輝かしい成果を生み出した。なかでも,シェイクスピアを頂点とする,16世紀から17世紀にかけて活躍した劇作家たちの作品本文研究は際だった活動であった。伝統的な書誌学(聖書学,古典文学などを対象とする)と一線を画したのは,劇作家の原稿(その形態への探求も含めて)がいかなる経路をたどって印刷用稿本となったかを解明し,その結果に基づいて校訂本を編纂することが目標とされた。別の言い方をすれば,残された歴史的遺物(つまり,印刷本)の分析により過去(劇作家の意図)を再生できるという信念であった。だが,ポストモダン理論はその信念が希望の別名に過ぎないとして,これを退けることになるのが1970年代末から80年代のことであった。パラダイムシフト。その渦中にあって,われわれは現在この先の確たる見通しを持つに至っていない。

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金子雄司「Not for All Time, but of an Age」もhttps://t.co/hkcK24bW6A。グレッグhttps://t.co/0QnyEFIlLYやバウワーズら新書誌學(分析書誌學)の登場期は壽岳文章『書物之道』(書物展望社1934)の書誌學論に反應が窺はれるhttps://t.co/9vgfOejFp2。壽岳と中條は關西學院で任期ズレるが。受容史。

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