- 著者
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張 楠
- 出版者
- 創価大学日本語日本文学会
- 雑誌
- 日本語日本文学 (ISSN:09171762)
- 巻号頁・発行日
- no.23, pp.89-107, 2013-03
本論文は『源氏物語』の中に出てくる上巳(三月三日)の行事を取り上げ,中国の歳時文化と道家の文化が重なっている事実で,古代日本の年中行事における道学思想の受容を考察してみた。具体的に三方面から展開する。一, 上巳の祓いと曲水の宴は,道家思想から生まれた行事である。二, 桃に避邪の呪力があるという道教の信仰に支えられて,桃の花は上巳の祓えの花としての位置を確立して行くのであると思われる。三, 桃の女性象徴は,女の子の無邪気と結び付いて,日本の桃の節供(女の節供)になるかもしれないと思われる。