著者
八百 章嘉
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.379-415, 2014-11

本稿では,Alleyne事件判決を紹介後,Apprendi準則の動向を探るため,当該事件判決に至るまでの系譜,合衆国憲法修正6条が保障する「陪審裁判を受ける権利」を検討する際に連邦最高裁が使用する方法論の特徴,および,そこから明らかになる連邦最高裁判事らの見解の対立を描写する。そして,以上の考察を踏まえて,Apprendi準則の問題点の1つでもある量刑における立法府と司法府の権限対立の問題を取り上げ,量刑裁判官が保持する巨大な裁量権を歴史的側面から照射し,Alleyne事件判決の意義と量刑を争うことの有意性について検討を加える。連邦最高裁が描き続ける物語の現在の到達点を垣間見ることによって,我が国の議論に若干の示唆を提示することが,本稿の目的である。

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