- 著者
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荻原 桂子
- 出版者
- 九州女子大学 : 九州女子短期大学
- 雑誌
- 九州女子大学紀要 = Bulletin of Kyushu women's university (ISSN:18840159)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.1, pp.117-130, 2014
宮沢賢治詩の魅力を生徒に気づかせる指導方法として、詩の感動の中心と細部の表現の関係を中心に考察する。賢治詩のなかでも「永訣の朝」は教科書収載が最も多い作品であり、高等学校一・二年の詩教材として安定した位置にある。賢治の作品は、童話とともに国語教科書に収載されることが多いが、言語表現にいくつもの解釈が生まれる深遠な魅力をたたえている。豊かな言語表現を真摯な態度で読み解くことが学習者に求められるのだが、「永訣の朝」は『春と修羅』と題されたものに収録されていることからも、「修羅」の言語表現として読む可能性を持ち続けなければならない。「永訣の朝」においては、雪と水という清澄な言語表現にひそむ、生と死の世界を彷徨する「修羅」の昏迷があることを、文学教材の言語表現から読み解くことが重要である。