著者
大澤 覚 オオサワ サトル Satoru Osawa
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.49-65, 2006-04-30

筆者は市民社会論を専門とするものではないが、担当する財政学の講義に関ってこの意味が問題となってきていた。これを調べた結果、ドイツ語のburgerliche Gesellschaftが、ある時は「ブルジョア社会」、またある時は「市民社会」と訳し分けされることを知り、新たにこれについて疑問に思い、これに焦点を当てて関連する文献を調べてみた。その結果、多くの経済学者が引用・言及してきたマルクス自身が、burgerlichとBourgeois-を使い分けていることが分かった。そこで、本稿では、とりあえず、この訳し分けの不当さを主張する観点から、マルクスに内在して、まずマルクスがこの使い分けをしていることを示し、そのうえで、burgerliche Gesellschaftと資本主義社会、BurgerとBourgeois、burgerliche GesellschaftとBurgerの順にそれぞれの用語をどのように使用しているか、どのような含意で使用されているかなどについて追求してみた。

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