著者
大澤 覚 オオサワ サトル Satoru Osawa
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.49-65, 2006-04-30

筆者は市民社会論を専門とするものではないが、担当する財政学の講義に関ってこの意味が問題となってきていた。これを調べた結果、ドイツ語のburgerliche Gesellschaftが、ある時は「ブルジョア社会」、またある時は「市民社会」と訳し分けされることを知り、新たにこれについて疑問に思い、これに焦点を当てて関連する文献を調べてみた。その結果、多くの経済学者が引用・言及してきたマルクス自身が、burgerlichとBourgeois-を使い分けていることが分かった。そこで、本稿では、とりあえず、この訳し分けの不当さを主張する観点から、マルクスに内在して、まずマルクスがこの使い分けをしていることを示し、そのうえで、burgerliche Gesellschaftと資本主義社会、BurgerとBourgeois、burgerliche GesellschaftとBurgerの順にそれぞれの用語をどのように使用しているか、どのような含意で使用されているかなどについて追求してみた。
著者
大澤 覚 オオサワ サトル Satoru Osawa
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.49-65, 2006-04-30

筆者は市民社会論を専門とするものではないが、担当する財政学の講義に関ってこの意味が問題となってきていた。これを調べた結果、ドイツ語のburgerliche Gesellschaftが、ある時は「ブルジョア社会」、またある時は「市民社会」と訳し分けされることを知り、新たにこれについて疑問に思い、これに焦点を当てて関連する文献を調べてみた。その結果、多くの経済学者が引用・言及してきたマルクス自身が、burgerlichとBourgeois-を使い分けていることが分かった。そこで、本稿では、とりあえず、この訳し分けの不当さを主張する観点から、マルクスに内在して、まずマルクスがこの使い分けをしていることを示し、そのうえで、burgerliche Gesellschaftと資本主義社会、BurgerとBourgeois、burgerliche GesellschaftとBurgerの順にそれぞれの用語をどのように使用しているか、どのような含意で使用されているかなどについて追求してみた。
著者
大澤 覚 オオサワ サトル Satoru Osawa
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.21-42, 2005-10-31

戦前期の皇室財産(御料地)は、憲法制定・議会開設を前にした明治22年前後に編入された。この概要は『帝室林野局五十年史』などでも知れるが、編入にあたっての巡回(現地調査)、復命の内容など、その具体的実態は未解明のままであった。そこで、本稿では、宮内庁が利用制限を解いた『地籍録』に基づいて、群馬県の場合の解明に取り組むこととした。群馬県へは大木真備が派遣された。巡回に当たっては、県側に資料の提出を求め、27の対象箇所を決めて出発した。しかし、「巡回日誌」などは不明なので、これを埋める資料として、肥田長官宛の書簡2通を活用して行程やそこでの問題点を把握した。そして、大木の「復命書」によって、これまで「将来有益なる土地と然らざる土地とを区分し」たと『明治天皇紀』に書かれていた内容の具体的把握をおこない、これに基づいて選定基準をまとめ、最後に、この根拠には楫取素彦の「意見書」があったことを述べてまとめとした。