著者
和泉 徹彦 イズミ テツヒコ Tetsuhiko Izumi
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.19-34, 2011-10-26

大学改革の文脈に沿ったキャンパス内通貨を構想するとき、それは国民通貨に対して「弱いお金」である地域通貨と同類の目標設定や課題克服を迫られることになる。学生個人がコミュニケーション力やキャリア形成につながる能力開発を支援する役割が期待されるが、流通形態・手段の設計次第で何度も繰り返し使われる複数回流通が可能にもなるし、大学から学生への一方通行にもなる。大学における3つの先行事例を研究することで、その得失を明らかにする。嘉悦大学において正課活動及び正課外活動を支援するためのキャンパス内通貨を導入する試案を検討する。様々な条件を考慮した上で、学生証に内蔵されたICカードをカギとするサーバ型の流通手段が望ましい。地域通貨が死蔵・退蔵されるのでは導入する意味が失われてしまうので、複数回流通させ流通速度を高める設計が重要である。学生個人がポイントをためるだけではなく学生団体・プロジェクトに寄付して活動に参加する、さらには地域商店街とも連携してスケールを拡大していくという将来を描く。大学内では既に予算化されている学生アルバイトや報奨金制度、そして学友会予算等を組み替えることでキャンパス内通貨の原資は確保可能である。

言及状況

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大学内で利用できる仮想通貨について知りたい。

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