著者
友池 敏雄 Toshio TOMOIKE
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.173-183, 2013

2011年の東日本大震災は、地震や津波および原子力発電所爆発事故まで引き起こしたため、この被災地からでる"ガレキ"は、放射能汚染と結びついて受けとめられた2)。国からの広域処理の要請で、受け入れの検討が行われた長崎市においては、同市内の被爆者団体は意見が分かれることもあった4)が、受入反対の意思表示を行なった3)5)。そこで、部分的ではあるが市民の意向を一定の範囲で把握すべく、一部長崎市民を対象に調査したところ、統計学的に有意差を見出せなかったが、"震災ガレキ"を長崎で受け入れるべきだとする人は78.49%存在していた。その中で、特に50~69歳代者には、積極的な受け入れ姿勢がみられた。40歳代や70歳代者も受け入れ姿勢は高く見られたものの、難色や拒否する人は他の年代者よりも2~3倍存在していた。これは、自らの子や孫への放射能による影響不安があったがためと考えられた。70歳代者は受け入れ拒否は低かったが、積極的でもなく中位だった。放射能からの影響不安では80歳代者も高かったため、高齢になるほど変化や不安から遠ざかり安泰な生活を望む傾向から来ていると推察された。しかし、もう一つの視点である、被爆者と一般市民との"ガレキ"受け入れ意識の差は見られなかった。尚、2012年7月26日、長崎市長は、"ガレキ"の受け入れの検討作業を中止すると発表した6)。

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こんな論文どうですか? 東日本大震災のガレキ受け入れに関する一部長崎市民の意識 (震災復興特集)(友池 敏雄ほか),2013 https://t.co/cIseoElknm 2011年の東日本大震災は、地震や津波および原子力発電所爆発事故まで引き起…

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