- 著者
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長谷川 和久
福山 厚子
伊東 志穂
- 出版者
- 養賢堂
- 雑誌
- 農業および園芸 (ISSN:03695247)
- 巻号頁・発行日
- vol.88, no.3, pp.319-323, 2013-03
生物は一度理化学的に傷つくと,修復に時間を要する。茨城県大宮町のガンマーフィールドにおける放射線による育種・品種改良のように,この線がプラスに効果を発揮すれば幸だが,マイナスでは問題となる。すなわち,福島原発事故では小出裕章氏(京都大2012)によるとヒロシマ型の原子爆弾100個相当分の放射性物質がすでに放出されたという。今後予想される被害は,全く不明と解説される。ちなみに,山陰。湯村温泉街に建てられている有名な吉永小百合さん演ずる夢千代(日記)さんの像は,昭和20年8月6日,広島で胎内被爆された永井左千子さんがモデルで,昭和50年代に建てられた。本人は胎内被爆の影響をずっと危惧して,生涯結婚されなかったという。放射性セシウムの半減期が30余年ということを考えれば,我々農業関係者も科学的事実とその持つ意味を深く考える必要がある。政策的に技術推進された結果の反省が問われている。ふと福井若狭,石川志賀および新潟柏崎の原発において同様の事故が万一発生すれば,「北陸の農業はどうなる?」との思が心をよぎる。生命と環境を大切にする地域の資源・風土を極力利用した安全な科学技術の発展が広く求められる。敬土愛農。