著者
秋葉 和温
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.673-678, 2013-06

1957年(昭和32年)のロイコチトゾーンの感染鶏の病性鑑定は山梨の住吉種畜場の例で終わった。この年は感染鶏の見られる養鶏場で,ライトトラップを使用して吸血昆虫を採取して乳剤とし,健康鶏に接種した。これは,その中には,きっと媒介者がいるであろう,媒介者がおれば,その中にはスポロゾイトを持っているものも,きっといるであろう,したがって,採取した昆虫の乳剤を接種すれば感染するであろうと考えたからである。しかし,1羽の感染鶏もえられなかったのである。どうしてであろうか。ウイルス学では感染耐過した動物の血清の中には中和抗体と称せられるものが存在する。この抗体はウイルスと結合し,中和するので,感染が防止される。これと同じような現象が起きているのであろうか。すなわち,ロイコチトゾーンの感染鶏群には,すでに感染耐過した個体もいるわけで,このような耐過鶏の血液を吸ったニワトリヌカカとスポロゾイトを持ったニワトリヌカカ,このヌカカは見た目では未吸血ヌカカと判定されるが,これと区別することなく,一緒に乳剤としたため,スポロゾイトが存在していたとしても,耐過鶏の血液を吸ったものの中の抗体によって中和されたようになって,感染力を失ったため,感染しなかったのではなかろうかと考えたのである。

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こんな論文どうですか? 鶏のロイコチトゾーン症の研究史における暗中模索からの脱出記録(12)(秋葉 和温),2013 http://t.co/ln1rk96gyU

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