著者
渡会 純一
出版者
東北福祉大学
雑誌
東北福祉大学研究紀要 (ISSN:13405012)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.229-240, 2013

2011年3月11日におきた「東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)」により、特に岩手・宮城・福島の沿岸部には町が壊滅状態となる地域が発生し、仮設住宅に居住している世帯が未だ多い現実において、音楽はそのような地域に対してどのような役割を果たしているのか。それを知るべく、本研究ではさまざまな状況のなか行われている被災地における演奏活動において、演奏家がどのように考え実践してきたのかについて、複数の「被災者でもある演奏家」に半構造化インタビューを行い、そこから得られた言語データから現象の構造化を行った。それにより、被災者が演奏を始めるに至るまでの思考のプロセスについて、① 震災による演奏の自粛と演奏支援に来る人々の演奏に対する葛藤、② 被災者が演奏を発信するにあたっての思いや留意点について、以上二つの上位カテゴリーをもつ構造を作成した。さらに、その結果をA.H.マズローの欲求階層説に照合し、時系列を追うごとに変化する欲求の満足度についても考察を加えた。

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