著者
山下 壮起 ヤマシタ ソウキ Yamashita Soki
出版者
同志社大学一神教学際研究センター(CISMOR)
雑誌
一神教世界 = The world of monotheistic religions (ISSN:21850380)
巻号頁・発行日
no.1, pp.39-51, 2010-02-28

ネイション・オブ・イスラーム(以下NOI)は、ブラックナショナリズムを基盤にした教義と指導者ルイス・ファラカンのカリスマによって、現代の黒人社会において影響力を持っている。1984 年の大統領選挙をきっかけに、NOI は大きな転換を見せた。それまで批判してきた黒人教会と連帯することで黒人社会への影響力を強化し、アメリカ政治に積極的に参与するようになったのである。黒人社会の支持を獲得したファラカンは、ブラックナショナリズムのリーダーとして黒人社会の感情に即した政治的終末論を展開してきた。しかし、彼の終末論は、時代によってその内容に非一貫性が見られる。それは、アメリカに対する黒人社会の感情の変化に対応し、そこからの支持を維持するためであった。本論文は、1984 年と2008 年の大統領選挙戦の比較を通してファラカンの非一貫性を分析し、その背景にあるものを明らかにするものである。

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"非一貫的に見えるファラカンの姿勢は、これまでまとまることのできなかったブラックナショナリストたちを一つにし、相互に協力しあえるようにするうえで必要だった。" →ルイス・ファラカン。興味深し。

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