著者
佐藤 髙司
出版者
共愛学園前橋国際大学
雑誌
共愛学園前橋国際大学論集 = Maebashi Kyoai Gakuen College ronshu (ISSN:2187333X)
巻号頁・発行日
no.15, pp.115-122, 2015

本稿では、母語を日本語とする児童生徒への方言教育には、方言の保存継承を目的とするもの、共通語教育を目的とするもの、言語教育の基礎づくりを目的とするものの三つがあることを述べ、そのうちの言語教育の基礎づくりを目的とする方言教育の小学校における具体的指導案例(単元例)を提示する。国立国語研究所主催の学術国際フォーラム「日本の方言の多様性を守るために」は、平成22(2010)年12月18日(土)に開催された。このフォーラムでは、4人のパネリストが各言語・方言が置かれている現状を報告し、ことばの多様性を守ることの重要性について、パネルディスカッションが行われた。本稿はこのパネルディスカッションから多くの示唆を得た。本稿では、母語を日本語とする児童生徒への方言教育のうち、言語教育の基礎づくりを目的とする方言教育について論じる。言語教育の基礎とは、様々な言語を様々な言語体系としてとらえることができる感覚やセンスのことである。言語教育の基礎づくりとは、その感覚やセンスを磨くことである。この言語教育の基礎づくりを目的とする方言教育には、日常使用している日本語を用いて行うことができるために、低年齢の子どもから対象に行うことができるという最大の利点がある。本稿で示す指導モデルは、小学校の低・中・高学年の3学年からなる。低学年では、方言かるた遊びを通して、自分自身が使用している言語が一つの言語体系であり、その他にも異なる言語体系が存在することを無意識のうちに感覚として意識させるねらいがある。中学年では、低学年において無意識的に感じた異言語体系を作為的にその存在を意識させるねらいがある。高学年では、地元の方言かるたをつくる活動を通して、自方言を一つの言語体系として明確に意識させるねらいがある。研究ノート

言及状況

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