- 著者
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與儀 峰奈子
與儀 峰奈子
- 出版者
- 琉球大学教育学部
- 雑誌
- 琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, pp.95-108, 2001-03
非言語情報伝達(nonverbal communication)は、顔の表情、頭の動き、視線、対人間距離、手の動き等を通じて表され、コミュニケーション活動において極めて重要な役割を担う。なかでもジェスチャー(身振り)は様々な角度からの研究がなされており、その意味や機能が解明されつつある。教室における教師と生徒間のコミュニケーションにおいても、多種多様なジェスチャーが観察される。本論文では、特に教師の用いるジェスチャーに焦点を当て、効果的で生徒の興味を引き付ける授業を行うためにはどのようなジェスチャーが有効であるかを考察する。分析対象は沖縄在留米軍基地内の小学校で行われた1年生対象の道徳の授業で、約1年間にわたりビデオ録画を行った。教師はスクールカウンセラーで、ジェスチャーを効果的に用いながら非常に魅力的な授業を展開した。本稿では、具体的にどのようなジェスチャーが用いられ、それがどのような意味を持ち、どのような機能を果たしているのかを分析・考察した。そして、授業内容を理解させるという目的だけでなく、低学年児童の興味と集中力を持続させ教室に規律を保たせるためにもジェスチャーが有効であることが観察された。