著者
金城 光子 Kinjyo Mitsuko
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 第一部・第二部 (ISSN:03865738)
巻号頁・発行日
no.52, pp.121-128, 1998-03-31

The present study aims to assess the effects on mood of a free dynamic dance accompanying high speed music (Kachaasii,an Okinawan folk dance which performed an exciting atmosphere). A hundred and thirty old female (ages:60-83,average:72) were devided at random into 2 groups,Dance and Control groups. Dance group performed Kachasii, while the other was given a rest period. Both groups took pre- and post-tests of POMS. Nonparametoric analysis made it clear that Kachaasii had significant effects on 3 of 6 states of POMS. After of Kachaasii performing,Dnce group scored lower on Tension, Fatigue and Confusion. Therefore, it is tenable say that Kachaasii is effective enough to relax Tension, to decrease Fatigue,and to ameliorate Confusion. Incidentally, the effect of the Kachaasii practicing dancing wasn't admitted about Depression, Anger, and Confusion. It thought that this was because the feeling condition before these practicing dancing of the examinee was approaching the limit value of the measurement already.
著者
道田 泰司 Michita Yasushi
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.147-153, 2003-03
被引用文献数
1

本研究では,大学1年時に読んだ文章と同じ文章を大学4年生に読ませ,読み方や考え方の変化およびその変化の原因が何だと本人たちは考えているかについて,インタビューを通して知ることを目的とした。考え方の変化に影響した事柄に関しては,次のことが言えるようであった。(1)卒論の影響をあげる人は多かったが,どういう点で影響を受けるかは人によって異なっていた。ただ,教員の批判的な言動の影響は全体的に大きいようであった。(2)友人関係も比較的多く言及された。(3)それ以外に,挙げられたものは多岐に渡っていた。(4)挙げられたものは,友人関係などの「日常的」体験と,論理的・批判的要素を含んだ「学校的」体験があり,両者の影響が排他的である可能性を示唆する発言があった。(5)学生の思考は,批判的かどうかは別にして,変化しないということはなく,本人が重視する方向にそれぞれ変化しているようであった。
著者
道田 泰司 Michita Yasushi
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.169-181, 2012-03

本稿の目的は,大学教員として中学生に心理学の授業を計画し,実施したプロセスを報告することである。授業は90分,18名の中学3年生を対象に行われた。テーマは盲点の錯覚を中心とした知覚心理学としたが,テーマをどのように設定し,授業をどのように構想し,実施したのか。生徒の反応はどうであったか。このような点について報告することで,今後の中等教育における心理学教育について考える基礎資料とするのが本稿の狙いである。実践を実施した結果,盲点を中心に実験体験を通し,自分たちでも考えながら心理学に触れることの有効性が確認された。今後の課題としては,講義時間の長さや考える時間の確保,意見表出の方法などの方法論的な部分が挙げられた。
著者
西村 貞雄 Nishimura Sadao
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 第一部・第二部 (ISSN:03865738)
巻号頁・発行日
no.42, pp.p75-105, 1993-03

At the front of the state chamber is a unique grand staircase. It is spread out like an open fan with carved lions on the handrails, and the main pillars fixed with ryu-chu.In this paper. I studied whether dai-ryu-chu (grand dragon pillar) on the staircase had faced to the front or had faced each other.
著者
道田 泰司 Michita Yasushi
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.161-170, 2002-03

批判的思考を行うためには,「共感」や「相手の尊重」のような,soft heartが必要になることが論じられた。それは第一に,批判を行う前提として「理解」が重要だからであり,相手のことをきちんと理解するためには「好意の原則」に支えられた共感的理解が必要だからである。このことは,-聴して容易に意味が取れると思われる場合でも,論理主義的な批判的思考を想定している場合でも同じである。共感的理解には,自分の理解の前提や枠組みをこそ批判的に検討する必要がある。そのことが,臨床心理学における共感のとらえられ方を元に考察された。また,批判を行うためには理解の足場が必要であること,それを自分と相手に繰り返し行うことによって理解が深まっていくことが論じられた。最後に,このような「批判」を伴うコミュニケーションにおいては,「相手の尊重」というもう1つのsoft heartも重要であることが,アサーティプネスの概念を引用しながら論じられた。
著者
大城 貞俊 OSHIRO SADATOSHI
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.57-70, 2012-06

沖縄県が生んだ近代・現代を代表する詩人に山之口貘がいる。山之口貘は、戦前期の日本社会に残っていた負の遺産としての沖縄差別や貧困を、平易な日常語で詩の言葉として紡ぎ、ユーモアとペーソス溢れる詩世界を構築した。山之口貘の詩は、文科省検定の小学校、中学校、及び高等学校の国語科教科書で採用され紹介されている。また、沖縄県で作成された国語科副読本の中でも、代表的な詩教材として定着している。本論では、「差別」「偏見」「推敲」「言葉」「地域」「詩教材」「書くこと」などをキーワードに、山之口貘の詩を通して、地域教材がひらく可能性を考えてみた。山之口貘の詩には、言葉との格闘があり、同時に伝統的な言語文化の視点がある。また、「書くこと」の意義が具体的に伝わってくる。山之口貘の詩を学び、国語科教材としての授業展開を検討することは、グローバル社会における詩教材の可能性を考えることに大いに役立つものと思われる。
著者
前村 佳幸 Maemura Yoshiyuki
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
18世紀の宮古島一地方役人の"履歴書" : 「染地氏六世勤書」の料紙と様式 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
no.93, pp.25-40, 2018-09

We investigated an original "Tsutomegaki" document and compared it with similar transcriptions and historical materials from Miyako and Yaeyama islands, which had a different administration system from that of Okinawa island in the early modern era. Although Tsutomegaki (translated as "curriculum vitae" in English) were maintained in each family, it is fundamentally not classified as a private document, because in preparing and appending the document, the administrative agency of the island was involved. The Tsutomegaki we analyzed consists of three parts: (1) a statement on the person's position in his own distinguished lineage (e.g. Someji-uji) on the island, (2) a list of his official business and his career in chronological order, and (3) Okugaki, a part that includes his administrative executives' signatures and seals. In addition, there is a part for appending his career after the preparation of the document. This part is certified by the Zaiban, a first-grade official dispatched from the Shuri government. Furthermore, this study showed that the paper material used in making the document is Kazinoki (Broussonetia papyrifera), or Kozo, which does not have loading material like rice glue. This was revealed by analysis using C dyeing solution based on JIS-P8120/8-2-2technique. The micrographs of the paper fiber and the photographs of a magazine for which the scrap papers of the original document were used as book covers are inserted in this article.
著者
西里 喜行 Nishizato Kiko
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 第一部・第二部 (ISSN:03865738)
巻号頁・発行日
no.48, pp.101-121, 1996-03

Huang zun-xian is famous as a diplomat, reformative thinker, poet at the end of the Qing dynasty. While he stayed in Japan as an adviser to the first envoy of the Chinese Government from the end of 1877 to the beginning of 1882, Huang zun-xian not only culturally communicated with many Japanese Sinologists, but also politically associated with Ryukyuans.Above all, Huang zun-xian became close to Bakensai, who submitted a petition for salvation of the Ryukyu Kingdom to him at Kobe Port on his way to Tokyo, and during his stay in Japan, they co-operated closely for the salvation of the Ryukyu Kingdom each other. In that process, his recognition of the Ryukyu issue became more substantial, so he composed the long Chinese poem 'Liu qiu ge'.In this paper, I have tried to translate it into Japanese with annotation, and investigated the characteristics of Huang zun-xian's recognition of the history and the then situation of the Ryukyu Kingdom. As a result, I have come to the following conclusions: (1) Huang zunxian correctly recognized the turning - point of the Ryukyuan history and the Ryukyu Kingdom's subordination to both Japan and China, (2) on one hand, he was moved by the feeling of sympathy for the Ryukyuans, who lost their nationality on account of the abolishment of the Ryukyu Kingdom, and (3) on the other hand, he objectively realized the abolishment of the Ryukyu Kingdom as an inevitable result of the Meiji Restoration.
著者
道田 泰司 Michita Yasushi
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.333-346, 2004-02

本稿では,批判的思考が良い思考であるのかどうかについて,意思決定と問題解決に焦点を当てて検討した。まず,すぐれた意思決定はきわめて批判的思考的であり,創造的な問題解決には,批判的思考的な技能が活かされていることが確認された。しかし,潜在的意思決定や暗黙の前提の存在を指摘することは,他者には受け入れられがたいことも多く,問題解決から離れる可能性のある,必ずしも良いとはいえないものであることが指摘された。これらは「解決・評価志向」と「探究志向」の批判的思考という枠組みで考察され,批判的思考の持つ「良さ」と「良くなさ」の2面性について論じられた。
著者
緒方 茂樹 相川 直幸 Ogata Shigeki Aikawa Naoyuki
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.361-379, 2004-02
被引用文献数
1

精神生理学的なアプローチの方法を、学校教育現場などのような実践場面すなわち、実験室以外のフィールド場面に応用していくことは、今後の教育分野の科学的な理論構築を考えていく中で新たな可能性をもつと考えられる。本報告では将来的にこのようなフィールドワークを行う際に必要な方法論的な工夫のひとつとして、特に子どもや発達障害児を対象にした場合を想定しながら、artifactsの除去という面から重点的に検討を加えた。その結果、従来的な各種フィルタリング(アナログフィルタと移動平均)の手法によるartifacts除去に関わる課題を指摘し、特に障害児を対象とした記録で混入が予想される「体動および筋活動電位によるartifacts」については、直線位相FIRデジタルフィルタを当てはめることで、視察的な面からみて十分に除去することが可能であることを明らかにした。さらにこのFIRデジタルフィルタについて、脳波波形認識法に関わる前処理としての有効性についても検証し、今後のアルゴリズム簡略化の可能性を示した。将来的なフィールドワーク、特に障害児教育への精神生理学的研究の応用に当たっては、この方法論はきわめて有効な手段のひとつとなりうると考えられる。
著者
砂川 力也 福地 修也 Sunakawa Rikiya Fukuchi Shuya
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.121-129, 2020-02

本研究は,長距離ランナーを対象に短期的なレジスタンストレーニングの介入が走パフォーマンスに与える影響を明らかにすることを目的とした.被験者は,長距離走を専門とする健常な男子大学生9名(Tr群:5名,Cnt群:4名)であった.測定は,5000m走(平均速度,平均ストライド長,平均ストライド頻度),最大挙上重量(スクワット,デッドリフト),最大無酸素パワー,CMJおよびRJとし,それぞれトレーニングの前後で計測し,その変化を比較した.レジスタンストレーニングは,スクワットおよびデットリフトを週2~3回の頻度で6週間実施した.トレーニング負荷は60%1RM×10レップ×3セットとし,トレーニング期間中に10レップ以上の挙上が可能になった場合は状況に応じて負荷を漸増させた.その結果,両群ともに5000m走のタイムに変化は見られなかったものの,Tr群においてトレーニング後に最大筋力,パワー,SSC能力の有意な向上が認められたことから,ランニングエコノミーの向上に寄与する可能性が考えられた.しかし,直接的な影響を与えられなかった要因として有酸素性能力の改善も同時に考慮したトレーニング計画の必要性が示された.
著者
平良 勉 金城 文雄 濱元 盛正 大城 喜一郎 伊野波 盛一 古堅 瑛子 Taira Tsutomu Kinjo Fumio Hamamoto Morimasa Oshiro Kiichiro Inoha Seiichi Furugen Eiko
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.169-175, 2001-03

健康の維持増進を目的とする中高年ジョガー8名を対象に、最大酸素摂取量とマラソン走行時の消費エネルギーと運動強度を測定、またアンケートによる日常のトレーニングの実態を調査、以下のような結果を得た。1.最大酸素摂取量は相対値で平均39.4ml/min・kg(±8.90)で、健康維持のための目標値を1例を除きほぼクリアしていた。2.日常のトレーニング処方は、強度、頻度、時間ともにアメリカ大学スポーツ医学協会が示す基準の範囲内であり、適切であった。3.マラソン走行時の消費エネルギーは、全被験者の平均,168.8kcal(±721.8)であり、競技を目的とするエリートランナーの消費エネルギーより高い値であった。このことは、マラソン走行時間は平均4hr41minでエリートランナーに比べ長時間であることによるものと推定された。4.最高心拍数を基準とする平均運動強度は90.2% of HRmax,85.6% of HRmaxRであり、また、最大酸素摂取量を基準とする平均強度は87.4% of Vo2maxで他の報告に比べやや高い強度であった。5.分時消費エネルギーは平均11.1kcal(±2.29)でVery heavyで、完走のみを目的とする市民マラソンであってもかなり高い強度であった。
著者
道田 泰司 Michita Yasushi
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.181-193, 2003-09
被引用文献数
2

本稿では、論理学における論理(的)の意味の検討から出発し、日常的にも利用可能な論理(的)のイメージが検討された。論理を「一本道」「防衛力」と理解することが有用であることが示された。また、論理的思考が、論理性という目標をもった批判的思考であることが論じられた。最後に、論理の不自然さや、相手にする他者の問題が検討され、それらを念頭において、論理的になるための方策が示唆された。
著者
与那嶺 松助 Yonamine Matsusuke
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
研究集録 (ISSN:04857801)
巻号頁・発行日
no.4, pp.43-53, 1960-12

In order to explore the meaning of authortarianism in Okinawa, a start was made by studying in this culture the nature of the California F scale which has been used most frequently as a measure of authoritarian attitudes. A Japanese translation of the original F scale (Form 40 and 45) was prepared and administered under conditions of anonymity to 112 students of the university of the Ryukyus and 90 elementary, junior high, and senior high school teachers in Okinawa.The Z2 test was employed as a technique of item analysis to assay internal consistency of the scale items. Twenty three items of the Japanese translation of the F scale differentiate significantly between the highest and the lowest quartiles. The ratio of numbers of the personality factors or variables being represented by items are approximately similar in the both instances of 23-item and 3D-item scales except in the instances of variables of authoritarian submission and authoritarian aggression. The odd-even coefficients of reliability for the scale of the Japanese translation of the F scale, when corrected by the Spearman-Brown formula, are .675 for the students, . 726 for the teachers. These values are much lower as compared with .90 found by Adorno and others, but it may be considered reasonably adequate for an initial attempt. The low reliability may in part due to the seven items found to be lacking in validity.The thirty-item scale differentiates significantly between the students and teachers, and between men and women.This study is only an initial attempt, and many questions still remain open, to be investigated in further studies.