- 著者
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藤岡 久美子
- 出版者
- 山形大学地域教育文化学部附属教職研究総合センター
- 雑誌
- 山形大学教職・教育実践研究 = Bulletin of Teacher Training Research Center, Yamagata University (ISSN:18819176)
- 巻号頁・発行日
- no.9, pp.21-27, 2014-03
幼児期に自己に向けた発話(プライベート・スピーチ,PS) があらわれ,言葉の内化とともに内言へと移行することがヴィゴツキーの理論およびその後の研究において示されている。本研究の目的は,認知的課題に取り組む際に幼児が示すPSの個人差と幼稚園での自由遊び場面での目標指向性との関連を検討することである。21名の幼児が年少クラス在籍時および1年後に絵カード分類課題に取り組み,課題中のPSが測定された。年中時には自由遊び中の行動と注意が記録された。PSと行動・注意の関連を検討したところ,ぼうっとしていたりうろうろすることが多いほど,分類課題中のPSが少なかった。また,1年間でPSが増加した群においてのみ,製作やごっこ遊びなど静的な遊びを相手に注意を向けて取り組んでいるほど,課題中の文形態のPSが多く示された。これらの結果から,思考の道具であるPSを認知的課題に取り組む際に多く示す幼児は,日常的にも目標指向的で,行動や注意が制御された状態を多く示すことが示唆された。 キーワード:幼児 / プライベート・スピーチ / 自由遊び / 自己制御