著者
平松 隆円
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.193-241, 2012-09

髪には、人々の身分や生き方が如実に反映されてきたという歴史から社会の変遷を読み取り、また人々のもつ無意識の戦略について論じることで、普遍的な美への志向を読み取る。化粧や髪形は時代とともに変化する。動態的には公家から武家へといった支配的地位にいる者の変化、異性から同性など、「誰のためによそおうのか」というよそおう対象の変化に伴って、表現として変化する。 本研究では、主に女性の髪に焦点を結び、髪の長さや結髪などが文化史的にもつ意味をあきらかにするとともに、それが社会的な存在であったこと、美意識はその社会性に裏打ちされてきたことなどを、男性の髪の社会的変化とともに論じる。そのなかで、俗説的に言われてきた、垂髪は平安時代の顔隠しに由来するという説や、髷は歌舞伎や遊女を真似たとする説などを批判し、文化史としてのコードを明確に読み解く。

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